ポータブル脳波計を用いて病院前で脳主幹動脈閉塞を予測する
Prehospital Detection of Large Vessel Occlusion Stroke With EEG: Results of the ELECTRA-STROKE Study
背景
主幹動脈閉塞(LVO)に対する血栓回収療法の有効性は時間依存的であり、血管内治療を行える施設へ直接搬送することが予後に重要となるため、病院前でLVOを予測・診断する方法が模索されてきた。
オランダAmsterdam UMC location University of Amsterdamのvan Stigtらは、病院前で救急看護師により脳卒中が疑われた、症状発現から24時間以内の成人患者を対象に、救急隊員によるドライ電極脳波測定(8チャンネル)を行い、θ波/α波比が前方循環系LVO(内頸動脈・A1・M1・M2近位)を予測しうるかを検証する、医師主導による多施設診断研究、ELECTRA-STROKEを実施した(n=311)。
結論
脳波記録時間は中央値151秒で、68%の患者で分析に十分な脳波データが得られた。患者の年齢は中央値74歳、ベースラインのNIHSSスコアは1で、3%にあたる6名が前方循環系LVO、51%がそれ以外の虚血性脳卒中、15%が一過性脳虚血発作、4%が出血性脳卒中、27%がstroke mimicsであった。
θ/α比の前方循環系LVO検出精度は、受信者動作特性曲線下面積(AUC)0.80であった。診断精度が最も高かったのは、δ波のペアワイズ駆動Brain Symmetry Indexで、AUC 0.91、感度80%、特異度93%、陽性尤度比11.0であった。
評価
バッグ入りのポータブル脳波計による病院前脳波測定は実行可能で、測定された脳波は十分なLVO予測能を持っていた。AUCは、最も高精度な病院前脳卒中スケールに匹敵する数字で(https://doi.org/10.1016/S1474-4422(20)30439-7)、ポテンシャルは高い。


