AML患者・造血幹細胞移植患者の腸内環境を細菌叢移植で改善する
Randomized Double-Blind Phase II Trial of Fecal Microbiota Transplantation Versus Placebo in Allogeneic Hematopoietic Cell Transplantation and AML
背景
同種造血幹細胞移植(HCT)を受ける急性骨髄性白血病(AML)患者は、疾患による免疫低下に加え、強力な化学療法による免疫低下もあるため、感染症を予防するため抗菌薬の投与が推奨されている。しかし、抗菌薬による腸内細菌の死滅は治療アウトカムの悪化と関連する。
アメリカUniversity of MinnesotaのRashidiらは、同種HCTのレシピエント(n=74)と導入化学療法を受けているAML患者(n=26)の2つのコホートを、好中球回復時に、便細菌叢移植(FMT)の標準化カプセル(MTP-101C)またはプラセボの経口投与に2:1で割り付け、4ヵ月間の全原因感染率を比較する第2相RCTを実施した。
結論
HCTコホートでの4ヵ月感染密度(100人日あたり)は、FMT群で0.74件、プラセボ群では0.91件であった(感染率比 0.83, 非有意)。AMLコホートの4ヵ月感染密度は、FMT群0.93件、プラセボ群1.25件であった(感染率比 0.74, 非有意)。
FMT後の便細菌叢の25〜30%は、ドナー独自の配列を有した。FMTは、抗菌薬投与後の細菌叢多様性の回復を改善した。
評価
サードパーティ製のFMTカプセルにより、撹乱された腸内細菌叢の多様性は回復したものの、一次アウトカムである感染症の予防効果は示されなかった。感染予防効果があるとしても効果量はあまり大きくないと考えられ、差を示すためには大規模な試験が必要となる。