小児の心不全・心原性ショックの全体像は:Texas報告
Clinical Presentation, Classification, and Outcomes of Cardiogenic Shock in Children

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
February 2024
83
開始ページ
595

背景

小児の心原性ショック(CS)に関しては不明点が多い。
アメリカ Baylor College of MedicineのPuriらは、2004〜2018年にTexas小児病院に入院した年齢中央値7.6歳の急性非代償性心不全(ADHF)患児591名(803件の入院)のデータを分析する後向研究を行った。
敗血症・出血による代償不全・ショック患者は除外し、modified SCAI SHOCK Stage Classificationを使用して患者をステージ分類した。主要アウトカムはCSの危険因子と院内死亡率である。

結論

26%がADHFによる入院後24時間以内にCSを発症した。心不全の最も一般的な病因は心筋症(48%)であった。
CS患児は非CS患児に比して収縮機能がより悪く、BNP濃度がより高く、早期の重度の腎障害・肝障害の頻度が高かった。また、人工換気(87% vs. 26%)と機械的循環補助(45% vs. 16%)を受ける頻度が高かった。
CS患児は、CS既往がない小児に比べ、院内死亡リスクがほぼ2倍であった(OR 1.91)。さらに、modified SCAI SHOCK Stage ClassificationのCSステージが高くなるほど、院内死亡の可能性が高くなった(最高ステージで2倍)。

評価

情報が少ないテーマに関する、アメリカの代表的な小児病院からの包括的な報告である。CSへの進行が26%に上ること、CSによる死亡リスクがステージに従って上がり、最高ステージで2倍に達することが初めて示された。多施設研究によるフォローが必須であるが、JACC Editorialは緊急の焦点として、機械的循環補助適応の明確化を提唱している。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)