小児の心不全・心原性ショックの全体像は:Texas報告
Clinical Presentation, Classification, and Outcomes of Cardiogenic Shock in Children
背景
小児の心原性ショック(CS)に関しては不明点が多い。
アメリカ Baylor College of MedicineのPuriらは、2004〜2018年にTexas小児病院に入院した年齢中央値7.6歳の急性非代償性心不全(ADHF)患児591名(803件の入院)のデータを分析する後向研究を行った。
敗血症・出血による代償不全・ショック患者は除外し、modified SCAI SHOCK Stage Classificationを使用して患者をステージ分類した。主要アウトカムはCSの危険因子と院内死亡率である。
結論
26%がADHFによる入院後24時間以内にCSを発症した。心不全の最も一般的な病因は心筋症(48%)であった。
CS患児は非CS患児に比して収縮機能がより悪く、BNP濃度がより高く、早期の重度の腎障害・肝障害の頻度が高かった。また、人工換気(87% vs. 26%)と機械的循環補助(45% vs. 16%)を受ける頻度が高かった。
CS患児は、CS既往がない小児に比べ、院内死亡リスクがほぼ2倍であった(OR 1.91)。さらに、modified SCAI SHOCK Stage ClassificationのCSステージが高くなるほど、院内死亡の可能性が高くなった(最高ステージで2倍)。
評価
情報が少ないテーマに関する、アメリカの代表的な小児病院からの包括的な報告である。CSへの進行が26%に上ること、CSによる死亡リスクがステージに従って上がり、最高ステージで2倍に達することが初めて示された。多施設研究によるフォローが必須であるが、JACC Editorialは緊急の焦点として、機械的循環補助適応の明確化を提唱している。