微小残存病変(MRD)で未治療CLL治療を個別化する
Chronic Lymphocytic Leukemia Therapy Guided by Measurable Residual Disease
背景
BTK阻害薬イブルチニブ、BCL2阻害薬ベネトクラクスなどの登場により、慢性リンパ性白血病(CLL)の治療は様変わりしているが、さらなる最適化の余地はあるか?
イギリスUniversity of LeedsのMunirらによるFLAIR試験は、当初は化学免疫療法の候補となる未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象に、イブルチニブ+リツキシマブとフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)の比較を行う第3相プラットフォーム試験として開始された。その後、2017年にイブルチニブ単剤、イブルチニブ+ベネトクラクス併用の2群を追加する修正が加えられ、特にイブルチニブ+ベネトクラクス併用群の治療期間は微小残存病変(MRD)によって決定された。一次エンドポイントはイブルチニブ+ベネトクラクス併用群のFCR 群と比較した無増悪生存とした。
結論
2017年以降、523名がイブルチニブ+ベネトクラクス併用群、またはFCR群へとランダム化された。
フォローアップ期間43.7ヵ月(中央値)の時点で、イブルチニブ+ベネトクラクス群の12名、FCR群の75名が進行・死亡した(HR 0.13)。このうち、死亡は各群9名、25名であった(0.31)。
3年後の時点で、イブルチニブ+ベネトクラクス群の58.0%がMRD陰性により治療を中止した。5年後では、65.9%が骨髄のMRD陰性、92.7%が末梢血MRD陰性となった。
心血管系の重篤有害事象は、イブルチニブ+ベネトクラクス群で多く発生した(10.7% vs. 0.4%)。
評価
イブルチニブとベネトクラクスの併用は、従来の標準治療であるFCRを大きく上回り、微小残存病変(MRD)で未治療CLL治療を個別化した。MRDの結果に応じて治療期間の短縮も可能とみられ、併せて未治療CLLの新しいスタンダードとなるだろう。