アメリカでのDOAC使用に人種差
Association of Race/Ethnicity With Oral Anticoagulant Use in Patients With Atrial Fibrillation: Findings From the Outcomes Registry for Better Informed Treatment of Atrial Fibrillation II
背景
アメリカ医療における人種差はあらゆる分野で見いだされてきた。Harvard Medical SchoolのEssienらは、心房細動患者に対するDOAC使用の人種差調査結果を報告している。Outcomes Registry for Better Informed Treatment of Atrial Fibrillation IIから12,417名の成人患者コホートを抽出して3.5年間追跡した。一次アウトカムは経口抗凝固薬(OAC)、殊にDOACの使用である。
結論
臨床諸特性の調整後、黒人は白人よりOAC処方率が低く(aOR:0.75)、DOAC処方率も低かった(aOR:0.63)。更に社会経済要因で調整すると、黒人間のOAC使用率に有意差はなかった。OAC使用患者中DOAC使用率は黒人が少なかった(aOR:0.73)。白人とヒスパニック系間にはこのような差はなかった。ワルファリン使用患者では、黒人・ヒスパニック系は白人より使用期間が短かった。DOACで治療している黒人・ヒスパニック系は、白人より不適切な量を処方されていた。
評価
DOACにフォーカスした人種差研究としては初めてである。黒人に差異が生じる原因として社会経済要因を否定する一方、白人では過剰治療の傾向がみられるとしており、医療供給者側のバイアスも示唆される。アメリカの脳梗塞罹患率はどんどん下がってきているが、高齢者・男性・黒人のリスクが高いことは変わっていない(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/1887762)。