脳梗塞に対する幹細胞治療は短期アウトカムを改善せず:日本TREASURE試験
Allogeneic Stem Cell Therapy for Acute Ischemic Stroke: The Phase 2/3 TREASURE Randomized Clinical Trial
背景
脳梗塞に対する細胞治療の期待は高く、RCTも複数行われてきた。ただし、これまでの臨床試験は、調製に一定の時間を要する自家幹細胞の特性上、亜急性期以降での検証が主であった。
日本Hokkaido University(北海道大学)のHoukinら(TREASURE)は、脳梗塞急性期での骨髄由来他家幹細胞 MultiStemの有効性・安全性を評価するため、国内44施設の発症18〜36時間で、NIHSSスコアが8〜20等の虚血性脳卒中患者を、MultiStemまたはプラセボの単回投与へとランダムに割り付け、安全性および神経学的アウトカムを比較する第2/3相試験を実施した(n=206)。
結論
90日時点で修正ランキンスケール(mRS)が1以下の神経学的良好アウトカム率は、MultiStem群11.5%、プラセボ群9.8%で差はなかった。
また、安全性エンドポイントを含む、その他の一次・二次アウトカムに群間差はなかった。
評価
自家細胞療法の限界を克服し、急性期脳卒中での細胞療法を検証した初の二重盲検試験であったが、期待に反し、MultiStem群での臨床アウトカムの改善は認められなかった。
探索的サブグループ解析は、一部の患者での有効性を示唆しており、さらなる検証が行われるかもしれない。