低用量メトトレキサートによる心血管イベント予防試験が失敗
Low-Dose Methotrexate for the Prevention of Atherosclerotic Events
背景
カナキヌマブにより心血管イベント発生率が抑制されるとしたCANTOS結果は、アテローム性動脈硬化症に対し抗炎症療法が有効であるという仮説を強化した。Brigham and Women’s HospitalのRidkerらは、心筋梗塞または多冠動脈疾患を有し、2型糖尿病または代謝性疾患のいずれかを伴う患者を対象として、低用量メトトレキサートの有効性を検証するRCTを行った(対照:placebo;n=4,786、追跡期間中央値2.3年)。一次エンドポイントは、非致命的心筋梗塞・非致命的脳卒中・心血管因死亡・緊急血行再建入院である。
結論
メトトレキセートの一次エンドポイント効果を認めなかった。インターロイキン-1β・インターロイキン-6・CRPレベルの低下もなかった。肝酵素レベルの上昇、白血球数・Hctレベルの低下、非基底細胞皮膚癌の発生率がプラセボより高かった。
評価
明らかなネガティブ結果で、同薬のこの目的への応用は断念されるとみられる。この試験では同薬の抗炎症効果自体が明らかでなく、抗炎症療法一般を否定するものとはみられないが、仮説冷却的な結果である。