死亡・ICU入室に至った入院患者の約2割に診断エラー
Diagnostic Errors in Hospitalized Adults Who Died or Were Transferred to Intensive Care
背景
診断エラーは患者の死亡を含む重大な帰結をもたらし得るが、診断エラーの関与する死亡・重症化症例はどれぐらいあるのか?
アメリカUniversity of California San FranciscoのAuerbachらは、2019年、同国29施設の大学病院に内科疾患で入院し、死亡またはICU入室に至った成人患者のランダムサンプル(n=2,428)を用いて、診断エラー(見逃しまたは診断の遅れ)の有無と、その原因、エラーの結果を調査する後向コホート研究を実施した。
結論
23.0%にあたる550名が診断エラーを経験しており、436名(17.8%)では一時的・永続的な害、または死亡に寄与したと判定された。
死亡に至った患者1,863名のうち、6.6%にあたる121名で診断エラーが寄与したと判定された。
多変量モデルにより、診断エラーに関連するプロセスの欠陥を検討すると、患者評価の問題(人口寄与割合:population attributable fraction, 21.4%)、検査オーダーと解釈の問題(19.9%)は診断エラーの減少に繋がり得ると考えられた。
評価
このアメリカでのレトロスペクティブ研究では、診断エラーはこれまで考えられていたよりも多く、死亡・重症化した症例の約2割が診断エラーがらみであった。臨床的評価と検査は、とくに改善の余地が大きいと考えられ、医療安全プログラムの最重要目標となるだろう。