CACの意味は男女で違う
Sex differences in calcified plaque and long-term cardiovascular mortality: observations from the CAC Consortium
背景
冠動脈石灰化(CAC)に基づく心血管疾患(CVD)リスク予測が標準化されているが、スコアに性差があるという報告が現れた。Emory UniversityのShawら(CAC Consortium)によるもので、同コンソシア研究に参加した63,215名の無症状男女の中央値12.6年のフォローアップ結果である。
結論
女性と男性の間に、プール化リスクスコアに有意差があった(5.8%・9.1%)。CACサブグループ分析では、女性は男性より石灰化部位・血管が少なくて障害サイズが大きく、プラーク密度が高かった。CACのない男女の長期CVD死亡リスクが同等だった一方、CACのある場合、女性は男性よりCVD死リスクが1.3倍高かった。指標別の女性・男性のCVD死の相対リスクは、各8.2・5.1(多血管CAC)、8.6・≧5.9(CAC障害部位5以上)、8.5・4.4(障害部位サイズ15mm3以上)であった。CAC障害部位が大きな場合、女性は男性と比べCVD死リスクが2.2倍高かった。また、CAC密度は諸因子調整後には男性でだけCVD死の予測因子であった。
評価
Agatston scoreを超えて多指標を精査したコンソシア研究により、CAC指標の意義に男女差のあることを初めて高信頼度提示した。一般に女性の方がCACによるリスクが相当高いという臨床的に有意義な結果であり、検査解釈スタンダードの変更検討を示唆するばかりでなく、このような差異の原因の探索研究の必要性を提起している。