乳房温存術後の放射線治療の省略、患者選択をゲノムで精緻化:IDEA試験
Omission of Radiotherapy After Breast-Conserving Surgery for Women With Breast Cancer With Low Clinical and Genomic Risk: 5-Year Outcomes of IDEA
背景
早期乳がん患者での乳房温存術後の補助放射線治療は、乳房内再発のリスクを抑制する標準治療であるが、一部のサブグループでは省略も可能と考えられており、検討が続いてきた。
アメリカEmory UniversityのJagsiら(IDEA)は、 50〜69歳の閉経後pT1N0浸潤性乳がん女性のうち、断端マージンが2 mm以上でER陽性・PR陽性・HER2陰性、かつ21遺伝子パネル検査に基づく乳がん再発スコア、オンコタイプDX(Oncotype DX)が18以下の患者で、内分泌療法のみの治療を行い5年後の局所再発率を評価する単群試験を実施した(n=200)。
結論
56ヵ月以上の臨床的フォローアップが行われた186例では、5年生存率・5年乳がん特異的生存率が共に100%であった。
5年無再発率は99%であった。
50〜59歳、および60〜69歳の同側乳房イベント率(未調整)は、それぞれ3.3%、3.6%であり、全再発率は5.0%、3.6%であった。
評価
分子生物学的サブタイプに基づき患者選択を行ったLuminal A study(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2302344)に続いて、オンコタイプDXのスコアによって患者を選択した本試験でも、5年再発率は許容範囲内であった。早期乳がんでの放射線治療省略については、複数のRCTが進行しており、最終的な答えが期待される。

