高感度トロポニンに基づくHEART pathwayはAMI診断をより高精度にする
Emergency Department Cardiac Risk Stratification With High-Sensitivity vs Conventional Troponin HEART Pathway

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
December 2023
6
開始ページ
e2348351

背景

HEART(History, Electrocardiogram, Age, Risk factors, and Troponin) pathwayは、急性冠症候群が疑われる胸痛患者のうち、早期に帰宅可能な低リスク患者を特定するための問診・ECG・年齢・リスク因子・初回トロポニン(Tn)結果からなる診断プロトコルである(http://doi.org/10.1161/CIRCOUTCOMES.114.001384)。
アメリカUniversity of California Los AngelesのYoreらは、2021年1月から9月にかけて高感度トロポニン(hs-Tn)アッセイの導入が開始されたKaiser Permanente Southern Californiaの16病院において、胸痛で救急外来を受診し、HEART pathwayによりリスク層別化を受けた成人患者(n=17,384)を対象として、従来(conventional)Tnまたはhs-Tnに基づくHEART pathwayの患者アウトカム・医療資源利用を比較した。

結論

71.6%が従来Tn、28.4%がhs-Tnに基づくリスク層別化を受けた。30日以内の急性心筋梗塞(AMI)の検出は、hs-Tn群の方が多かったが(5.8% vs. 4.4%)、30日死亡率に差はなかった(0.3% vs. 0.4%)。
救急外来でAMI診断を受けた患者の割合は、hs-Tn群で高く(4.6% vs. 2.0%)、救急外来でAMI診断を受けなかった患者のうち、その後30日以内にAMI診断を受けた患者の割合は、従来Tn群で高かった(1.2% vs. 2.4%)。
hs-Tn群の患者は、入院(12.2% vs. 15.0%)、7日以内の負荷試験(10.2% vs. 12.8%)、30日以内の冠動脈血行再建術(1.0% vs. 2.0%)が少なかった。

評価

hs-Tnに基づくHEART pathwayプロトコルは、救急外来でのAMI検出を改善し、医療リソース利用もわずかに削減した。hs-Tnのベネフィットを示すデータだが、胸痛患者の死亡率への影響は未だ明らかではない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)