意図しない体重減少はがんの前兆か
Cancer Diagnoses After Recent Weight Loss
背景
プライマリケアでの調査では、予期・意図しない体重減少を示す患者が稀にみられる。2020年の調査では、5%以上の体重減少がみられた患者のうち、1.4%が6ヵ月以内にがん診断を受けた(https://doi.org/10.1136/bmj.m2651)。
アメリカDana-Farber Cancer InstituteのWangらは、1978年から追跡が行われているNurses' Health Studyの40歳以上の女性、および1988年から追跡が行われているHealth Professionals Follow-Up Studyの40歳以上の男性を対象に、2年ごとに報告された体重の減少と、その後12ヵ月間のがん診断率を調査した(n=157,474)。
結論
10%超の体重減少があった参加者でのがん発症は、10万人年あたり1,362件であったのに対し、体重減少のない参加者では869件であった(群間差493件/10万人年)。特に(報告された身体活動と食事の質から)体重減少を望んでいないと判断された参加者のうち、10%超の体重減少があった参加者では10万人年あたり2,687件のがん発症があり、体重減少のない参加者での1,220件より有意に多かった(群間差1,467件/10万人年)。
体重減少のあった参加者では、上部消化管のがん特に多くみられた(173件/10万人年 vs. 36件, 群間差137件/10万人年)。
評価
10%超の体重減少・予期せぬ体重減少は上部消化器がん・血液がんなどのリスク増加と関連していた。
ダイエットを意図していないにもかかわらず、体重減少がみられる場合、意図に関わらず、大きな体重減少がみられる場合には、受診が必要であろう。