良好な夫婦関係が急性心筋梗塞からの回復をサポート
Impact of Marital Stress on 1-Year Health Outcomes Among Young Adults With Acute Myocardial Infarction
背景
心血管疾患からの回復にはさまざまな因子が影響を与えており、ストレスもその一つと考えられている。しばしば引用されるスウェーデンの研究では、夫婦間のストレスが冠動脈イベントの再発リスクを2.9倍にすることが報告されているが(https://doi.org/10.1001/jama.284.23.3008)、これと矛盾する報告もある。
アメリカYale School of Public HealthのZhuらは、18〜55歳の急性心筋梗塞(AMI)患者(n=1,593)を登録した観察コホート研究、VIRGO(Variation in Recovery: Role of Gender on Outcomes of Young AMI Patients)のデータを用い、AMI後1ヵ月時点で自己報告された結婚・交際におけるストレス(Stockholm Marital Stress Scale)と各種アウトカムとの関連を検討した。
結論
36.2%が重度(3段階で最上位のカテゴリー)の夫婦間ストレスを報告し、重度のストレスは男性よりも女性で多かった(39.4% vs. 30.4%)。
重度の夫婦間ストレスは、精神的健康(β=-2.13)、一般的健康状態(-3.87)、心臓特異的なQOL(-6.41)の悪化と有意に関連しており、狭心症(オッズ比 1.49)、原因を問わない再入院(1.45)のオッズが高かった。これらの関連は、男女とも同様に認められた。
評価
夫婦間のストレスレベルが高いほど、1年後の心身の健康が悪化し、狭心症、再入院が増加していた。著者は、患者のフォローアップにおいて、こうした日常レベルのストレスをスクリーニングすることも検討すべき、としている。