患者と医療者の言語が異なると身体拘束が増える
Association of language concordance and restraint use in adults receiving mechanical ventilation
背景
医師と患者のあいだの言葉の壁は、両者の良好なコミュニケーションを阻害するが、ICU患者でのせん妄・興奮や身体拘束に影響するのか?
アメリカUniversity of Miami のGershengornらは、同大学病院のICUに入室した、人工呼吸器を必要とする、英語またはスペイン語話者の成人患者を対象とした後向コホート研究を実施し、各シフトでの看護師と患者の言語の一致と身体拘束(一次アウトカム)・興奮・せん妄との関連を評価した。
結論
患者548名と看護師157名で、計4,326回のシフトが調査に含まれた。シフトの78.1%では、患者と看護師の言語の一致があった。患者の49.1%はスペイン語話者であったが、英語話者の方が若く、非ヒスパニック系の割合が高かった。
英語話者は、身体拘束のオーダーが出されたシフトが少なかった(0回 vs. 1回)。また、言語一致のあるシフトでは、不一致なシフトと比べ、拘束が少なかった(22.3% vs. 34.7%, 調整オッズ比 0.50)。興奮(18.6% vs. 25.2%, オッズ比 0.71)、せん妄の同定(34.5% vs. 41.3%, 0.54)についても同様であった。
評価
後向研究ではあるが、看護師と患者の使用言語の不一致が、2倍の身体拘束リスクと関連することを明らかにした。言語的マイノリティのせん妄では拘束リスクが高いという調査がすでにあるが(https://doi.org/10.1111/jgs.17989)、これも言語の不一致によって媒介されていた可能性がある。
せん妄に対する非薬理学的介入の重要な候補となりうる。