肺がんの組織型を国際的に調査、最も多いのは腺がん
Global variations in lung cancer incidence by histological subtype in 2020: a population-based study
背景
肺がんには、腺がん・扁平上皮がん・大細胞がん・小細胞がんという4つの組織型があり、最も一般的な腺がん、喫煙との関連が強い扁平上皮がんが症例の大半を占める。
中国Guangdong Medical UniversityのZhangらは、Cancer Incidence in Five Continents Volume XI、およびAfrican Cancer Registry Networkのデータを用い、世界185の国・地域における各組織型の割合を評価し、さらに2020年の肺がん罹患件数の国別推定値(GLOBOCAN)に適用することで各組織型の世界的・地域的・国家的負荷を定量化した。
結論
2020年、全世界で2,206,771例の新規肺がん罹患があったと推定された(男性1,435,943例、女性770,828例)。
男性では39%が腺がん、25%が扁平上皮がん、11%が小細胞がん、8%が大細胞がんであった。女性では57%が腺がん、12%が扁平上皮がん、9%が小細胞がん、6%が大細胞がんであった。各組織型の年齢標準化罹患率は、男性では10万人年あたり12.4、7.7、3.6、2.6、女性では8.3、1.6、1.3、0.9と推定された。
男性では185ヵ国中150ヵ国、女性では185ヵ国すべてで、腺がんの罹患率が扁平上皮がんの罹患率を上回った。
扁平上皮がんの年齢標準化罹患率が世界で最も高いのは、男女とも東アジアであった。また、人間開発指数によって明確な勾配を示しており、人間開発指数が高いほど各組織型の罹患が増加した。
評価
禁煙へのシフトにより、肺がんの最も一般的な組織型は扁平上皮がんから腺がんに移り変わった(https://doi.org/10.1016/j.lungcan.2014.01.009)。国際がん研究機関(IARC)とAFCRNのデータに基づいて世界の肺がん発症件数を定量化した本研究も、現在、ほとんどの国で腺がんが発症数の第1位を占めていることを確認した。