神経学的悪化のみられる脳梗塞急性期患者でアルガトロバンが有効:EASE試験
Argatroban in Patients With Acute Ischemic Stroke With Early Neurological Deterioration: A Randomized Clinical Trial
背景
脳梗塞急性期における抗凝固療法は、現在までのところベネフィットが証明されておらず、出血リスクの増加もあって積極的には推奨されていない。
中国Zhejiang University School of MedicineのZhangら(EASE)は、症状発現から48時間以内にNIHSSスコアで2ポイント以上の症状悪化を示した急性虚血性脳卒中患者を、標準治療に加えて直接トロンビン阻害薬アルガトロバンを静注するグループまたは標準治療のみのグループへと割り付け、90日後の神経学的良好アウトカム(mRSスコアが0から3)を比較するRCTを実施した(n=628)。
結論
90日後の神経学的良好アウトカム率は、アルガトロバン群で80.5%、対照群では73.3%であった(リスク比 1.10)。頭蓋内出血率はそれぞれ0.9%、0.7%であった(非有意)。
評価
脳梗塞患者に対するアルガトロバンに関しては、昨年、同じ中国のARAIS試験が超急性期患者での利益を示すことに失敗したが(https://doi.org/10.1001/jama.2023.0550)、このEASE試験では、初期の神経学的悪化を呈する急性期脳梗塞患者における有意なアウトカム改善が示された。
脳梗塞急性期の非経口抗凝固療法は長年にわたる論争の種であり、本試験の有効な結果により、議論は新しい段階に入る。


