アフリカ系アメリカ人でだけDCMアウトカムを悪化させるBAG3バリアントを報告
Association of Variants in BAG3 With Cardiomyopathy Outcomes in African American Individuals
背景
非虚血性拡張型心筋症(DCM)に関連する遺伝子変異が多数報告されている。Temple UniversityのMyersらは、既存3臨床研究の遺伝子データに基づき、Bcl2-associated anthanogene 3(BAG3)遺伝子変異とDCMアウトカムの関連を詳細解析した。一次.エンドポイントは、アフリカ系アメリカ人におけるBAG3変異の有病率、機能的BAG3変異を有する参加者の無イベント生存率である。
結論
非虚血性心不全のアフリカ系アメリカ人の10.4%、虚血性心不全のアフリカ系アメリカ人の8.4%に発現するがヨーロッパ系参照集団には発現しない4つのBAG3バリアントを同定した。キャリアの心イベントリスクは、非キャリアの1.97倍(ハザード比)であった。プラスミドトランスフェクションによる成人ヒト心室筋細胞の形質転換により、これらバリアントが低酸素-再酸素化ストレス下でのアポトーシス増・オートファジー減と関連することを見出した。
評価
アフリカ系(アメリカ人)患者でだけDCMアウトカムを悪化させる、という珍しいバリアントを初めて同定し、その効果が心筋のストレス反応に関連することを示唆した。DCMの病因・病態生理の理解に寄与するだけでなく、心不全の治療にも関連する可能性がある。