単施設RCTのポジティブな結果のほとんどは多施設RCTで再現されない
Positive single-center randomized trials and subsequent multicenter randomized trials in critically ill patients: a systematic review

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Critical Care
年月
November 2023
27
開始ページ
465

背景

ランダム化比較試験(RCT)は、医療実践に科学的エビデンスをもたらす最良の方法であるが、1施設のみで行われた単施設RCTの結果は、より大規模な多施設RCTによって再現されないことがしばしばある。
イタリアIRCCS San Raffaele Scientific InstituteのKotaniらは、2016年までにNew England Journal of Medicine・JAMA・Lancetに掲載された単施設RCTのうち、重症成人患者を対象に死亡率の有意な低下を報告した研究を選択し、同じテーマを扱う後続の多施設共同RCTを検索、単施設RCTと多施設共同RCTの結果の一致を評価した。

結論

19件の単施設RCTが特定された。うち16件について、少なくとも1件の後続の多施設RCTが特定された(24件)。
後続の多施設RCTで死亡率の有意な低下が再現されたのは、16件の単施設RCTのうち1件(6%)のみであり、14件(88%)は死亡率に差がなく、強化インスリン療法についての1件(6%)は死亡率の上昇によって否定された。国際的ガイドラインで1回以上参照された14件の単施設RCTのうち、6件はその後のバージョンで削除されるか、反対が示唆された。

評価

集中治療領域で有効な結果を示した単施設RCTは、その後の多施設検証でほとんど再現されず、一部は否定された。
多様な患者背景・診療実践を反映しておらず、サンプルサイズも小さい単施設RCTの結果が、多施設RCTで否定されることは、それ自体としては妥当な科学プロセスの一部である。本研究は、単施設結果を性急に実践・ガイドラインに反映させる前に、より慎重な吟味が行われるべきことを示唆している。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)