抗PD-1/PD-L1治療後のFGFR変異転移性膀胱がん、erdafitinibでOS延長:THOR
Erdafitinib or Chemotherapy in Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma
背景
Erdafitinibは、経口選択的汎FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)阻害薬であり、FGFR3/2変異を有する進行尿路上皮がん患者での奏効を示し、膀胱がんでは初のFDA承認標的薬となった。
フランスUniversite Paris-SaclayのLoriotら(THOR)は、世界23ヵ国抗PD-1・抗PD-L1治療を含む1〜2ラインの治療後に病勢進行をみた、FGFR3/2遺伝子変異を有する転移性尿路上皮がん患者を、erdafitinibまたは主治医選択の化学療法へと割り付け、全生存期間を比較する第3相RCTの結果を報告した(n=266)。
結論
全生存期間(中央値)は、erdafitinib群12.1ヵ月、化学療法群7.8ヵ月であった(HR 0.64)。無増悪生存期間についても、erdafitinib群での延長が認められた(5.6ヵ月 vs. 2.7ヵ月, HR 0.58)。
グレード3・4治療関連有害事象の発生は、両群で同程度であったが、死亡に至った治療関連有害事象はerdafitinib群で少なかった(0.7% vs. 5.4%)。
評価
進行膀胱がんの2割で認められる変異を対象とした標的薬で、日本も参加したこの国際第3相試験において化学療法を上回る成績を示した。免疫チェックポイント阻害薬後に進行した患者での、新しい選択肢となる。本試験のコホート2は、抗PD-1・抗PD-L1治療歴のない患者でペムブロリズマブとの比較を行っている。