急性心筋梗塞によるショックにImpellaプロトコルは有望
Early Utilization of Mechanical Circulatory Support in Acute Myocardial Infarction Complicated by Cardiogenic Shock: The National Cardiogenic Shock Initiative

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Journal of the American Heart Association
年月
December 2023
12
開始ページ
e031401

背景

心原性ショックを合併する急性心筋梗塞(AMI-CS)患者に対する機械的補助循環としては、大動脈内バルーンパンピング(IABP)が有効性の証明に失敗しており、新たな補助循環デバイスとしてImpellaに期待が集まっている。
アメリカHenry Ford HospitalのBasirらによる多施設共同研究National Cardiogenic Shock Initiativeは、全米80施設のAMI-CS患者(n=406)において、PCI前のImpellaの早期使用を中心とするショックプロトコルの実施可能性と有効性を評価した。

結論

患者の平均年齢は64歳、24%が女性で、17%が目撃のある院外心停止、27%が院内心停止であった。9%はImpella挿入時に心肺蘇生中であった。70%はPCI前に、21%はPCI後にImpellaが留置された。初期の収縮期血圧は平均77.2 mmHgで、乳酸値は平均4.8 mmol/Lであった。初期の指標は、中心静脈圧と左室拡張終末期圧の上昇、心拍出量の低下(0.67 W)と、うっ血を示した。
Impella留置後24時間の収縮期血圧は平均103.9 mmHg、乳酸値は2.7 mmol/L、心拍出量は1.0 Wへと改善した。留置時生存率は99%、生存退院率は71%、30日生存率は68%、1年生存率は53%であった。

評価

NCSIプロトコルによる早期Impellaは、AMI-CS患者の生存退院率7割という良好な成績を残した。次段階として、より大規模なRCT(RECOVER IV)が行われているhttps://clinicaltrials.gov/study/NCT05506449

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)