ドローンで心停止の現場までAEDを届ける
Drone delivery of automated external defibrillators compared with ambulance arrival in real-life suspected out-of-hospital cardiac arrests: a prospective observational study in Sweden
背景
院外心停止の救命率を向上させるためには、バイスタンダーによる心肺蘇生に加えて、AED(自動体外式除細動器)を用いた除細動が重要となる。AEDの使用率は近年改善しているものの、心停止の大半は公共AEDの設置場所から離れた場所で起こることから、さらなる改善にはブレイクスルーが必要とされていた。
スウェーデンKarolinska InstitutetのSchierbeckらは、イェーテボリ都市圏の人口約20万人、194.3 km2のエリアに、AEDを搭載した5台のドローンを配置し、院外心停止が疑われる症例に派遣する前向観察研究を実施し、救急車の到達前にドローンがAEDを送達しうるか検証した。
結論
2021年4月から2022年5月に、211件の院外心停止が疑われる通報があり、うち72件(34%)でドローンが派遣された。58件(81%)では成功裏にドローンが送達された。未送達の主な理由は、心停止でなかったことによる派遣のキャンセルであった。91%でドローンは現場から15 m以内に到着した。
ドローンと救急車の到着時刻が確認された症例(n=55)では、37件(67%)でドローンが救急車よりも早く現場に到着しており、時間差は3分14秒(中央値)であった。これらのうち18件が実際に心停止症例であり、6件でAEDが装着され、2件がショック可能であり、救急車到着前に除細動が行われ、1名が30日生存を達成した。
評価
ドローンの配備により、院外心停止疑い例の2/3で救急車よりも早く現場にAEDが送達され、実際に1名の命を救った(https://everdrone.com/news/2022/01/04/for-the-first-time-in-medical-history-an-autonomous-drone-helps-save-the-life-of-a-cardiac-arrest-patient/)。
公共設置AEDの少ない住宅地・郊外で救命を可能にする、革新的ソリューションである。