高用量の一酸化窒素吸入はCOVID-19呼吸不全患者の酸素化を改善する
High-Dose Inhaled Nitric Oxide in Acute Hypoxemic Respiratory Failure Due to COVID-19: A Multicenter Phase II Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
年月
December 2023
208
開始ページ
1293

背景

一酸化窒素(NO)の吸入は、換気領域の肺血管を選択的に拡張する作用があり、肺内血管シャントを軽減し酸素化を改善する。NO吸入による酸素化の改善は、肺高血圧症や急性呼吸窮迫症候群で認められてきたが、新型コロナウイルス感染症(COOVID-19)では。
アメリカMassachusetts General HospitalのDi Fenzaらは、COVID-19肺炎により人工呼吸を受ける成人患者を登録し、介入群には48時間・80 ppmのNO吸入を、対照群には通常ケアを割り付け、48時間後のPaO2/FiO2を比較する第2相RCTを実施した(n=200)。

結論

48時間後のPaO2/FiO2の変化は、介入群で28.3 mmHg、対照群で−1.4 mmHgであった。PaO2/FiO2が300 mmHgに達するまでの日数は、介入群8.7日、対照群8.4日であった。28日後までに300 mmHgに達した患者の割合は、介入群27.7%、対照群17.2%であった(リスク比 2.03)。28日・90日死亡率に差はなかった。

評価

高用量NOの吸入は、重症COVID-19患者の酸素化を改善し、死亡率についても介入群で良好な可能性が高かった(70%超)。
COVID-19を対象とした追加検証は難しいとみられるが、急性低酸素血症性呼吸不全でのNO吸入は有望とみられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)