安定CAD患者のPCI適応決定にFFRだけでは十分でない
High Coronary Shear Stress in Patients With Coronary Artery Disease Predicts Myocardial Infarction
背景
薬物治療されている冠動脈疾患(CAD)患者では、FFR低値が高血行再建術施行率と関連する一方、WSS(壁ずり応力)高値はプラーク脆弱性増加と関連するとされている。Cleveland ClinicのKumarらは、安定CADで低FFRの患者では狭窄近位セグメントで測定したWSS(WSSprox)が後の心筋梗塞(MI)を予測する、という仮説を検証した。FAME II試験参加者441名中FFR≦0.80で薬物療法のみを受けた患者データをMI群と非MI群とに分け、傾向スコアマッチ分析を行った。
結論
Marginal Cox modelにおいて、低FFRがMIトレンドを予測する一方(HR:0.084)、高WSSproxはMIをより明確に予測した(HR:1.234、Cインデックス0.65)。WSSproxへのFFRの追加により、MI予測の包括カイ2乗は有意に増加し、NRIは0.69改善し、IDIは0.11であった。
評価
FFRという機能的血行動態指標よりWSSという構造的血行動態指標の方が重要となる場合があるという面白い所見で、一応薬物療法適応とされる安定CAD患者からPCI適応患者を選抜するのに有用である。