自己採取HPVキットの郵送で子宮頸がん検診の受診率を高める:STEP試験
Strategies to Increase Cervical Cancer Screening With Mailed Human Papillomavirus Self-Sampling Kits: A Randomized Clinical Trial
背景
子宮頸がん検診では、自分が自分で頸部を採取する自己採取というオプションも存在するが、自己採取キットの郵便送付は頸がん検診の受診率を高めるだろうか?
アメリカUniversity of WashingtonのWinerら(STEP)は、Kaiser Permanente Washingtonシステムを利用し、検診受診歴があり、次回検診まで3ヵ月以内、または検診予定を過ぎた30〜64歳の女性を登録するRCTを実施した。
次回検診まで3ヵ月以内の女性を、1) 患者へのリマインドと主治医への電子カルテアラート(通常ケア群)、2) 通常ケア+検診についてのパンフレット(教育群)、3) 通常ケア+パンフレット+自己採取キット郵送(ダイレクトメール群)、4) 通常ケア+資料+キット郵送を請求する折り込み書類(オプトイン群)へと割り付け、検診予定を過ぎた女性は通常ケア群、教育群、ダイレクトメール群へ、さらに検診歴不明な女性は通常ケア群、教育群、オプトイン群へとそれぞれ割り付けた。
結論
Intention-to-treat解析には、31,355名が含まれた。
検診予定を控える女性では、教育群の47.6%と比較して、ダイレクトメール群では61.7%、オプトイン群で51.1%と、それぞれ6ヵ月以内の検診完了率が向上した。
検診予定を過ぎた女性でも教育群18.8%、ダイレクトメール群35.7%と、ダイレクトメール群で検診完了率が高かった。検診歴不明な女性では教育群の15.9%と比して、オプトイン群では18.1%と検診率が向上した。
評価
自己採取HPV検査は、精度について医師採取に劣る可能性はあるものの、在宅で可能であり、医師採取と比して心理的負担も少ないため、なにより検診意欲を挫かない検診手段と考えられている(https://doi.org/10.1016/S1470-2045(13)70570-9)。本試験は、キットの直接郵送または郵送申請オプションによって検診受診率が向上するというエビデンスを新たに追加した。