院外心停止患者の半数は十分なバッグ換気を受けていない
Bag-Valve-Mask Ventilation and Survival From Out-of-Hospital Cardiac Arrest: A Multicenter Study
背景
心停止患者に対する一次救命処置では、100~120回/分の速度による胸骨圧迫が基本とされてきたが、胸骨圧迫中の人工呼吸の役割には十分なデータが欠けている。
アメリカUniversity of Texas のIdrisらは、Resuscitation Outcomes Consortium CCC studyに参加した6施設の院外心停止患者のうち、除細動器・モニターにより生体インピーダンス信号が2分以上記録された患者を対象に、胸骨圧迫:人工呼吸比30:2の心肺蘇生におけるバッグバルブマスク換気による肺膨張とアウトカムとの関連を検討した(n=1,976)。
結論
高度な気道管理までの間に、30:2の人工呼吸が平均9.8分行われた。この間、総計26,861回の胸骨圧迫の一時停止が発生し、患者の60%では換気波形が認められた一時停止が半分に満たず(第1グループ)、40%では停止の半分以上で換気波形(第2グループ)が認められた。
第1グループでは、患者1人あたり中央値12回の休止と2回の換気が行われ、第2グループでは中央値12回の休止と12回の換気が行われた。第2グループは、病院到着前の自己心拍再開率が高く(40.7% vs. 25.2%)、生存退院率(13.5% vs. 4.1%)、神経学的良好アウトカム率も高かった(10.6% vs. 2.4%)。
評価
院外心停止患者の半数超が、十分な換気を受けておらず、不十分な換気はアウトカム不良と関連した。近年の研究は、胸骨圧迫ファーストのエビデンスを形成してきたが、換気の品質にも今一度、目を向ける必要がある。