プラチナ抵抗性卵巣がんで抗体薬物複合体MIRVが効果:MIRASOL
Mirvetuximab Soravtansine in FRα-Positive, Platinum-Resistant Ovarian Cancer
背景
Mirvetuximab soravtansine-gynx(MIRV, IMGN853)は、卵巣がん特異的に発現する葉酸受容体α(FRα)と結合する抗体と、ペイロードとしてのメイタンシノイドDM4をリンカーで結合したファースト・イン・クラスの抗体薬物複合体(ADC)であり、プラチナ抵抗性卵巣がんへの抗腫瘍活性を示し、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受けている。
アメリカUniversity of OklahomaのMooreら(MIRASOL)は、世界21ヵ国で、1~3ラインの治療歴を有し、FRαが高頻度(75%以上)で発現するプラチナ療法抵抗性の高異型度漿液性卵巣がん患者を、MIRVまたは化学療法へと割り付け、無増悪生存期間などを比較する第3相国際共同RCTを実施した(n=453)。
結論
無増悪生存期間(中央値)は、MIRV群で5.62ヵ月、化学療法群で3.98ヵ月であった。客観的奏効はMIRV群の42.3%、化学療法群の15.9%に認められた(オッズ比 3.81)。また、全生存期間中央値も各16.46ヵ月・12.75ヵ月と、MIRV群で延長した(HR 0.67)。
グレード3以上の有害事象、グレードを問わず全ての重篤有害事象、治療中止に至った事象のいずれもMIRV群で少なかった。
評価
以前に行われた第3相FORWARD I試験は、MIRVの一次有効性を示せなかったが、同試験の解析ではFRα高発現のサブグループにおいて有効性が見込めることが割り出されおり(https://doi.org/10.1016/j.annonc.2021.02.017)、FRα高発現患者に絞り込んだ今回の試験でめでたく、プラチナ抵抗性卵巣がんの第3相試験では初のOS延長を示した。
Frα陽性のプラチナ抵抗性卵巣がんでの国際的標準治療となるとみられる。