KRAS G12C変異大腸がんにはKRAS G12C阻害薬・EGFR阻害薬の併用:CodeBreaK 300
Sotorasib plus Panitumumab in Refractory Colorectal Cancer with Mutated KRAS G12C

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
December 2023
389
開始ページ
2125

背景

KRAS G12C阻害剤ソトラシブが、非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第3相CodeBreak 200試験において有効性を示したことは、創薬困難とされてきたRAS変異の治療における大きなブレイクスルーであった。しかし、NSCLCに次いでKRAS G12C変異が多くみられる大腸がんでは、KRAS G12C阻害薬単独での活性は限定的である。
同試験のアメリカCity of Hope Comprehensive Cancer CenterのFakihらは、化学療法抵抗性の遠隔転移を有するKRAS G12C変異大腸がん患者(n=160)を、ソトラシブ(960 mg)+EGFR阻害薬パニツムマブ、ソトラシブ(240 mg)+パニツムマブ、標準治療(主治医の選択によるトリフルリジン・チピラシルまたはレゴラフェニブ)のいずれかへと割り付け、無増悪生存期間・その他のアウトカムを比較する第3相多施設RCT(CodeBreaK 300)を実施した。

結論

無増悪生存期間(中央値)は、2剤併用(ソトラシブ960 mg)群5.6ヵ月、2剤併用(240 mg)群3.9ヵ月、標準治療群2.2ヵ月であった。標準治療に対する病勢進行・死亡のハザード比は、2剤併用(960 mg)群で0.49、2剤併用(240 mg)群で0.58であった。
客観的奏効率は、2剤併用(960 mg)群26.4%、2剤併用(240 mg)群5.7%、標準治療群0%であった。グレード3以上の治療関連有害事象は、それぞれ35.8%、30.2%、43.1%で発生した。

評価

KRAS G12C阻害薬とEGFR阻害薬の併用により、KRAS変異大腸がんに対する標的治療としては、初めての有効性を示した。もう一つのKRAS G12C阻害薬adagrasibとセツキシマブの併用を検証するKRYSTAL-10試験(NCT04793958)が行われているほか、ファーストラインでの有効性も今後の焦点となる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)