KRAS G12C変異大腸がんにはKRAS G12C阻害薬・EGFR阻害薬の併用:CodeBreaK 300
Sotorasib plus Panitumumab in Refractory Colorectal Cancer with Mutated KRAS G12C
背景
KRAS G12C阻害剤ソトラシブが、非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第3相CodeBreak 200試験において有効性を示したことは、創薬困難とされてきたRAS変異の治療における大きなブレイクスルーであった。しかし、NSCLCに次いでKRAS G12C変異が多くみられる大腸がんでは、KRAS G12C阻害薬単独での活性は限定的である。
同試験のアメリカCity of Hope Comprehensive Cancer CenterのFakihらは、化学療法抵抗性の遠隔転移を有するKRAS G12C変異大腸がん患者(n=160)を、ソトラシブ(960 mg)+EGFR阻害薬パニツムマブ、ソトラシブ(240 mg)+パニツムマブ、標準治療(主治医の選択によるトリフルリジン・チピラシルまたはレゴラフェニブ)のいずれかへと割り付け、無増悪生存期間・その他のアウトカムを比較する第3相多施設RCT(CodeBreaK 300)を実施した。
結論
無増悪生存期間(中央値)は、2剤併用(ソトラシブ960 mg)群5.6ヵ月、2剤併用(240 mg)群3.9ヵ月、標準治療群2.2ヵ月であった。標準治療に対する病勢進行・死亡のハザード比は、2剤併用(960 mg)群で0.49、2剤併用(240 mg)群で0.58であった。
客観的奏効率は、2剤併用(960 mg)群26.4%、2剤併用(240 mg)群5.7%、標準治療群0%であった。グレード3以上の治療関連有害事象は、それぞれ35.8%、30.2%、43.1%で発生した。
評価
KRAS G12C阻害薬とEGFR阻害薬の併用により、KRAS変異大腸がんに対する標的治療としては、初めての有効性を示した。もう一つのKRAS G12C阻害薬adagrasibとセツキシマブの併用を検証するKRYSTAL-10試験(NCT04793958)が行われているほか、ファーストラインでの有効性も今後の焦点となる。