3種類の画像で新素材の研究開発に貢献 国産初の位相コントラストX線CTシステム「Xctal 5000」を発売
- 株式会社島津製作所
- 2022年11月1日
製品写真:位相コントラストX線CTシステム「Xctal(エックスシータル)5000」
島津製作所は11月1日に、位相コントラストX線CTシステム「Xctal(エックスシータル)5000」を国内外で発売します。本製品は、一度の撮影でX線の吸収像・散乱像・屈折像という3種類の画像を撮影可能な、国産初の位相コントラストX線CTシステムです。物質を透過するX線の散乱・屈折を可視化する「X線位相コントラスト」により、X線の吸収を可視化する「X線吸収コントラスト」を用いる従来のX線CTシステムでは困難だった対象物(ワーク)も観察できます。繊維強化樹脂(FRP)や複合材料、生体材料などの研究開発に貢献します。
X線CTシステムは、X線発生装置と検出器の間で回転するワークにX線を照射することで、その内部を3次元で観察・撮影する装置です。非破壊で観察できるため、品質管理や研究開発で使われています。近年、カーボンニュートラルを目指して新素材の研究開発が進んでおり、「自動車向けの軽量化素材としての炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの内部を検査」「異なる樹脂を組み合わせた新素材の接着接合状態を観察」といった非破壊での観察需要が高まっています。ただ、従来のX線CTシステムでは「視野と分解能の両立」や「吸収係数が近い材料間の高コントラスト観察」が困難でした。
本製品は、回折格子を使用した新方式(X線位相イメージング技術)の採用により、「散乱像」および「屈折像」が撮影可能です。「散乱像」ではワーク内部の細かい傷や繊維束の流れを広視野で撮影でき、CFRPなど新素材の製造方法の研究での利用が見込まれます。また「屈折像」により吸収係数が近い材料間でも密度差が一定量以上あれば高コントラストで撮影できることから、樹脂新素材や生体軟組織の観察などでの利用も可能です。島津製作所は一世紀以上前からX線装置を手掛けており、国内におけるリーディングカンパニーの1つです。当社はこれからも、新しい価値を提供できる製品開発に取り組んでまいります。
新製品の特長
1. 広い視野と微細構造の観察を両立
従来、「吸収像」で微細な構造を観察する際は「高拡大撮影が必要で視野が狭くなる」「ワークを小さく切断しなければならない」という課題がありました。本製品は「散乱像」を用いて、内部の細かい傷や繊維束の流れといった微細な構造群を観察できます。最大100mmという広視野を持つため、ワーク全体から細かい傷などの有無や位置に見当を付けられます。撮影回数を重ねたりワークを切断したりする必要がありません。
傷のあるCFRPクロス材(左:「散乱像」、右:従来の「吸収像」)
2. 2種の高コントラスト観察を実現
吸収係数の差を可視化する「吸収像」に加えて、密度差を可視化する「屈折像」による観察もできます。今までコントラストが付きづらかった材料間でも高コントラスト観察が可能となり、観察の幅が広がります。
水とアクリル棒(左:「屈折像」、右:従来の「吸収像」)
3. 誰でも簡単に撮影可能
ワークを装置内に置き、プリセットされた撮影条件を選ぶだけで、撮影を開始できます。撮影後は、条件に応じた観察・解析用ソフトが自動的に起動するので、簡単に解析できます。
価格:1億1,000万円〜(税別)
目標販売台数:発売後1年間で国内外合わせて10台
詳しい製品説明については掲載元をご覧ください。
- 企業サイトURL
- https://www.shimadzu.co.jp/
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