【プレスリリース】人工腎臓装置の新製品(透析用監視装置 TR-3300M)の本格販売について

東レ・メディカル株式会社
2013年12月24日

東レ・メディカル株式会社
透析事業本部


人工腎臓装置の新製品(透析用監視装置 TR-3300M)の本格販売について

 東レ・メディカル株式会社(本社:千葉県浦安市 社長:大志万俊夫 東レ100%出資)は、この度、静岡工場(静岡県沼津市)にて新たに開発し、2013年10月25日に厚生労働省から製造販売承認を取得した「透析用監視装置TR-3300M」(以下、TR-3300M)を2014年1月から本格発売いたします。

 今回発売するTR-3300Mは、臨床試験(治験)を行い2010年2月に厚生労働省から製造販売承認を取得した「透析用監視装置TR-3000MA」の後継機種となり、現在、市場にて高い評価をいただいている「逆ろ過透析液による自動化機能」をアップグレードしました。さらにオンライン補充液による自動化機能を付加、デザインを一新しユーザビリティーを大幅に向上させた新製品となります。

 新製品は、(1)業務効率化、(2)操作性・作業性の向上、(3)安全性・信頼性の追求、(4)高機能化、(5)クリーン化のコンセプトのもと開発し、多くの市場ニーズに対応しており、透析治療の更なる質の向上に大きく寄与できる人工腎臓装置と考えております。

 弊社は国内外で唯一、透析用RO装置から透析用監視装置までの透析機器システムを一貫生産している透析機器メーカーです。医療機器に要求される高い安全性、信頼性を満足させるべく、2002年に品質マネジメントシステムISO9001:2000、その後ISO13485:2003を取得し、品質および安全性、信頼性の高い製品と行き届いたサービスを提供すべく取り組んで参りました。また、MDD(欧州医療機器指令)AnnexIIの取得、各国の法規制適合など、グローバル展開も積極的に行っております。

 日本国内における透析患者数は、約31万人で年に5,000人ほど増加し、今後もしばらく増加が予想されています。弊社は、市場ニーズに対応した透析機器システムと高性能で生体適合性に優れた透析器(ダイアライザの"フィルトライザー®""トレライト®"ヘモダイアフィルタの"トレスルホン®")等を軸に更に透析事業の拡大を図り、安全、快適、高品質な透析医療を提供すると共に、透析患者のQOL(クオリティ オブ ライフ)向上、医療従事者の利便性改善等のお役に立ちたいと考えております。


【透析用監視装置 TR-3300M】
一般的名称:多用途透析装置
承認番号:22500BZX00472000


− 補足資料 −


1.東レ・メディカル株式会社の概要
 1980年、東レ(株)が製造する人工腎臓(透析器)"フィルトライザー"などの医療機器製品の販売会社として設立されました。現在は透析機器メーカーとしての役割も担っています。その事業構成は血液透析を中心とした透析器や透析機器、救急・集中治療の血液浄化システム、カテーテルなどの医療用具、医薬品の天然型インターフェロン製剤販売などからなり、2012年度の売上高は約400億円です。

2.TR-3300Mの詳細
(1) 業務効率化
 逆ろ過透析液およびオンライン補充液によるプライミング、急速補液、返血および脱血の各自動化機能をグレードアップし、自動化による業務効率化をさらに推進します。
 特に治験によって2010年に承認を得た"逆ろ過透析液を用いた自動化機能"は、ダイアライザが最終フィルタの役割を兼用し、また補液ラインを必要としないシンプルな回路で使用することができる簡便でより安心・安全なシステムです。
[主な自動化機能]
・生理食塩液を必要としない自動プライミング(透析準備)
・ワンタッチで自動脱血(透析開始)
・生理食塩液を必要としない簡単補液(透析中の血圧低下時など)
・生理食塩液を必要としない自動返血(透析終了時)

(2) 操作性・作業性の向上
 血液ポンプ、シリンジポンプなどのデバイスはスタッフの作業姿勢を重視したレイアウトとしました。さらに、LCD(12.1インチ)および操作部は広範囲に可動しますので、スタッフおよび患者の視点に合わせて向きを変えることができます。また、操作面では機器に不慣れなスタッフでも簡単に操作ができるよう、各工程で必要なスイッチを表示するなどのナビゲート機能を搭載しています。

(3) 安全性・信頼性の追求
 返血時は血液ポンプケーシング部の自動スライド機構(新規採用)によって、患者の動脈圧、静脈圧を自動測定し、それぞれの患者に適した圧力を監視しながら自動返血ができる安全性の高いシステムを搭載しています。
 デザイン面では全てのクランプをコンソールに組み込み、気泡検知器とクランプをユニット化することで、血液回路のセットミスなどのヒューマンエラーの低減が期待できます。

(4) 高機能化
  国内において2010年に認可された治療方法であるオンラインHDFや、今後の新しい治療方法として注目されている間歇補充型HDF(I-HDF)など、多様な治療法に対応できます。I-HDFは、逆ろ過透析液を間歇的に補液するHDFモードであり、治療中の末梢循環改善、plasma refilling促進、膜性能の経時減少抑制などの効果が期待できます。また、弊社人工透析管理システム Miracle DIMCS UX®との連携により、効率的な透析管理が可能です。

(5) クリーン化
 高品質な透析に寄与する透析液清浄化システムとして、ETRF2連の自動フラッシング、リークチェック機能を搭載しています。ETRFには新製品発売に合わせ開発した高除去性能で耐久性が向上した"TORAY ETRF TE-12R"を使用しています。また、透析液を衛生的かつ容易に抽出するためのサンプリングポートも消毒時のすすぎ性をベンチュリ効果によってさらに向上させた新タイプを搭載しています。
 透析液清浄化によって透析治療における副作用・合併症が軽減されるという臨床効果はすでに多くの学会、研究会等で報告されており、弊社の透析液清浄化に関する取り組み、システムは医療施設より高い評価を受けております。
*ETRF:endotoxin retentive filter(エンドトキシン捕捉フィルタ)

3.用語説明
1)透析(血液透析、人工透析)
 透析とは、慢性腎不全に陥った患者の生命維持に必要な治療方法のひとつで、通常1週間に2〜3回(1回あたり:約4時間)維持透析として施行される。原理は、拡散と限外濾過で、血液を半透膜を介して透析液と接触させることにより、尿毒素および余分な水分の除去、電解質バランスの調節等を行う。
2)人工腎臓(透析器、ダイアライザ)
 透析に用いる血液浄化用のフィルタをいう。
3)人工腎臓装置(透析装置)
 透析器(ダイアライザ)を用いて、透析を行うために使用する装置をいう。
4)逆ろ過透析液
 透析の除水は、限外濾過によって血液側の水分を透析液側へ移動させているが、それとは逆方向に透析液側から血液側に移動させた液を逆ろ過透析液という。清浄化された透析液をダイアライザ(半透膜)を介して逆ろ過することで、生理食塩液の代用としてプライミング液、置換液として使用できる。
5)オンライン補充液
 透析液をETRFでろ過した清浄度の極めて高い透析液をいう。生理食塩液の代用としてプライミング液、置換液として使用できる。
6)プライミング
 血液回路をプライミング液(通常は生理食塩液)、ダイアライザをプライミング液および透析液でエアー抜き、洗浄を行い治療が開始できるようにすること。
7)返血
 透析終了後、体外循環している血液を患者へ戻すこと。通常は血液を生理食塩液に置換することで返血を行う。
8)脱血
 患者から血液の導出を行い、血液回路、ダイアライザのプライミング液を血液に置換し体外循環を開始すること。
9)補液
 透析中の血圧低下時など、患者に補充液(通常は生理食塩液)を注入すること。
 補液によって、体液(血管内液)を補い血圧を回復させ循環動態を安定させる。

以上

企業サイトURL
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