LC-MS/MS用の免疫抑制剤分析キット「DOSIMMUNE(ドズィミューン)」を発売 試薬調整の煩雑さや分析結果のばらつきを解消

株式会社島津製作所
2018年12月7日


写真:LC-MS/MS用免疫抑制剤分析キット「DOSIMMUNE」


島津製作所は、トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)用の免疫抑制剤分析キット「DOSIMMUNE(ドズィミューン)」を発売します。「DOSIMMUNE」は、LC-MS/MSで4種類の免疫抑制剤の血中濃度を調べる際に必要な試薬、移動相、カラムなどをオールインワンに揃えたキットです。個別に試薬を購入したり、調整したりという手間が省けるため、病院の臨床検査部や薬剤部、大学医学部、臨床検査会社などで働く技師の業務効率化につながります。本キットは、昨年買収した仏試薬会社 Alsachim SAS (以下、ALC社)からの製品第1弾となります。

近年、疾患の早期診断や微量薬物の濃度測定における液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)の利用が増えてきました。複数の薬剤を高精度で同時分析できるというメリットがあるためです。臨床分野における活用例の1つが免疫抑制剤の血中濃度測定です。臓器や造血幹細胞の移植治療では、拒絶反応を制御するために免疫抑制剤が投与されます。ただし、過剰な投与は免疫を必要以上に抑制してしまい、病原体の感染という副作用につながります。そのため、免疫抑制剤は投与後に血中の薬剤濃度を測定・監視して、投薬量を緻密に管理しなければなりません。欧米では「血中薬物モニタリング(TDM)」にLCMSが用いられることが一般的になりつつあり、国内でも導入する病院が増えています。

島津製作所でも臨床分野でのニーズに応えるため関連製品の医療機器登録を進めてきました。2015年に高速液体クロマトグラフ質量分析計「Nexera LC-MS/MSシステム」が、2017年に検体前処理装置「CLAM-2000 CL」が、いずれも医薬品医療機器法におけるクラスI医療機器として登録されています。

ただし、こうした装置の使用には試薬や移動相、カラムといった消耗品が必要になります。当社はアフターマーケット事業強化の一環として、昨年6月にドイツの現地法人Shimadzu Europa GmbHを通じて、ALC社を買収しました。「DOSIMMUNE(ドズィミューン)」はALC社製であり、LC-MS/MSをTDMでお使いいただく際に必要な消耗品がすべて含まれています。前処理や分析時の試薬調整の煩雑さや分析結果のバラツキを解消できると同時に、濃度の測定業務を高度に標準化でき、安定的なデータ取得が可能になります。全自動LCMS前処理装置「CLAM-2030」と組み合わせてお使いただくと業務効率がさらに向上します。

島津製作所は、本中期経営計画において医療分野で革新的な製品・サービスを創出する「アドバンスト・ヘルスケア」事業に取り組んでいます。臨床現場での当社製品の普及を通じて、医療従事者および患者の皆様のお力になれるように今後も製品・技術の研究開発に邁進してまいります。

新製品の特長
1. 高い測定能力で正確なデータ出力
LC-MS/MS分析は、従来の分析法(イムノアッセイ)と比べて血中の一次代謝物との交差反応の影響を受けにくく、高い特異性を確保できます。

2. 4薬剤の濃度を同時計測
タクロリムス、シクロスポリンA、エベロリムス、シロリムスという4種類の薬剤濃度を一度に計測できるため、薬剤ごとに試薬を変更する必要はありません。

3. 業務負担を軽減
内部標準を含めて必要な商品が揃ったレディメードの分析キットであるため、ご購入後にすぐにお使いいただけます。さらに全自動LCMS前処理装置「CLAM-2030」と組み合わせれば、溶血した全血サンプルの採血管をそのままセットすることで全自動で前処理と分析が可能となり、ワークフローが改善されます。

名称:LC-MS/MS用免疫抑制剤分析キット「DOSIMMUNE」
販売目標:発売から1年間で国内各40キット

※本製品は医薬品医療機器法に基づく体外診断用医薬品には該当しません。LCMSによる人に対する血中薬物濃度モニタリングにおいては、医師の指示等の下で、弊社指定の医療用システム(医療機器クラスI)または研究用装置と組み合わせて使用できます。

※製品の詳細は掲載元をご覧ください。

企業サイトURL
http://www.med.shimadzu.co.jp
ニュース・プレスリリース
https://www.shimadzu.co.jp/news/press/0w29p7v3bdwsycuj.html

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