遠心方式血液分析装置「Yumizen Banalyst M120」を発売

〜測定時間を最大で約2分30秒(約33%)短縮し、医療現場における業務効率化に貢献〜

株式会社堀場製作所
2025年8月27日

株式会社堀場製作所(以下、当社)は、糖尿病や感染症のスクリーニングに用いられるヘモグロビンA1c※1やCRP※2、高感度CRP※3などの項目を微量の血液で院内にて即時検査できる、遠心方式血液分析装置「Yumizen Banalyst M120」を発売しました。
本製品は、内部構造の改良などにより、従来比で最大約2分30秒(約33%)の測定時間短縮※4を実現しました。これにより、患者の待ち時間の短縮や検査の回転率向上を可能にし、医療現場の業務効率化に貢献します。また、測定手順の簡略化や装置の起動・終了を自動で実行するタイマー設定など、ユーザーの操作性を追求した機能を新たに搭載しました。さらに、今後当社の総合保守サービス支援システム「HORIBA MEDISIDE LINKAGE next」(オプション)との連携にも対応する予定であり、測定データの集計や帳票作成の自動化といった管理業務の負担軽減にも寄与します。
当社は、本製品の展開を通じて測定から電子カルテ連携までの業務効率化を支援し、地域医療における "かかりつけ医"の機能強化と、質の高い医療サービスの提供に貢献してまいります。


遠心方式血液分析装置「Yumizen Banalyst M120」

開発の背景

近年、生活習慣と社会環境の変化に伴い、開業医にかかる糖尿病患者数は急増しています。加えて、患者層の高齢化や医療法改正といった市況変化を受け、地域医療の現場では、限られた時間と人員で効率的に精度の高い検査を行う体制の構築が求められています。当社は、以前より開業医市場向けに、血液の成分を測定する血球計数や炎症の指標となるCRP濃度、血糖値やヘモグロビンA1cなど糖尿病に関連する検査項目において、即時に検査を行い、その場で結果を提供する血液検査機器を幅広く展開してきました。
このたび発売する「Yumizen Banalyst M120」は、高い測定精度を備えながら、より小型で設置しやすいデザインを実現した製品です。測定時間の短縮や操作性の向上、各種管理システムとの連携機能などにより利便性と業務効率を高め、医療現場の多様なニーズに応えます。

製品特長

1. 高精度測定と最大で約2分30秒(約33%)※4の測定時間短縮を実現

製品の内部機構やシーケンスの見直しにより、ヘモグロビンA1c、CRP、高感度CRP、シスタチンC※5の全項目で測定時間を短縮しました。特に、ヘモグロビンA1cでは約2分30秒(約33%※4)、CRPでは約1分20秒(約17%※6)短縮。検査の回転率向上を通じて、医療現場の業務効率化に貢献します。
また、μTAS※7(マイクロタス)技術を応用することで、微量の血液でも高精度な測定が可能です。なかでもヘモグロビンA1cは、糖尿病患者におけるモニタリングの指標としても使用されることから、測定結果に高い安定性と精度が求められます。本製品は、これらの要件に応える測定性能を備えており、診療現場での信頼性の高い診断を支援するとともに、治療方針を検討するうえで有効な判断材料として活用されます。

2.ユーザビリティの向上

測定終了後から次の検査までに要していた装置の待機時間をなくし、連続測定に対応することで従来比最大約40%※8の時間短縮を実現しました。さらに、当社従来製品で必要だった測定手順の簡略化や、装置の起動・終了をタイマーで自動実行できるなど、ユーザーの操作性や業務の利便性を高める機能を新たに搭載しています。

3.「GATELINK」、「HORIBA MEDISIDE LINKAGE next」との連携による業務支援

当社の電子カルテ連携ソフト「GATELINK」(オプション)と連携することで、測定結果を電子カルテに自動で送信できます。さらに、今後当社の医用機器を対象とした総合保守サービス支援システム「HORIBA MEDISIDE LINKAGE next」(オプション)との連携にも対応する予定であり、本製品から取得した測定データの月次集計を行い、医療法改正で提出が義務付けられる測定標準作業書などの帳票を自動で作成可能になります。帳票作成業務を自動化することで、データ管理の負担や入力ミスによるリスク軽減に寄与します。

主な仕様



※1 ヘモグロビンA1c(HbA1c):HbA1cは、ヘモグロビンに血液中のグルコースが結合したもので、過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖値を表します。医学的な臨床研究のデータが豊富であり、糖尿病の検査において診断の指標として一般化しています。特に、2010年に施行された新しい糖尿病診断基準では判断基準値に加えられ、血糖値とともに同日検査が推奨されたことから、急速に普及し活用されています。
※2 CRP(C-Reactive Protein/C反応性たんぱく):体内に急性の炎症や組織の損傷があるときに、血清中に増えるたんぱく質の一種。代表的な炎症マーカーで、組織や細胞の炎症を早く鋭敏に反応し、その度合いを知ることができます。また、病態の改善の際には速やかに減少するので、病態の診断、予後の診断、治療効果の観察に役立ちます。
※3 高感度CRP:高感度CRP検査は、通常のCRP検査の100倍以上の感度があり、通常検出できない微量なCRPを測定することができます。最近、動脈硬化に慢性炎症が関係していることが分かり、心筋梗塞など心疾患のリスク予測に微小な炎症を捉えるマーカーとして注目されており、心疾患以外にも新生児感染症のモニターにも利用されています。
※4 ヘモグロビンA1cの測定における当社従来製品比較および当社調べ。使用方法や条件によって効果が異なる場合があります。
※5 シスタチン C:主に腎機能検査のマーカーとして使用される血清タンパク質のひとつ。
※6 CRPの測定における当社従来製品比較および当社調べ。使用方法や条件によって効果が異なる場合があります。
※7 Micro Total Analysis Systemの略。数mmから数cm角のチップ上に、流体デバイスを集積することによって、化学反応や生化学分析など一連の化学操作を、短時間で効率的に行うシステム。
※8 測定時間および待機時間を含めた当社従来製品との比較です。採血動作は含みません。使用方法や条件によって異なる場合があります。

最新ニュース・プレスリリース