X線透視下での内視鏡検査・治療を支援「VisualAID -ERCPプランニング-」新発売

富士フイルムメディカル株式会社
2025年4月7日

富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、消化器内視鏡検査・治療の一つであるERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)*1実施時にX線透視画像と3D画像を重ねて表示し、ワークフローの効率化に貢献するソフトウェア「VisualAID -ERCPプランニング-」を富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原 芳博)を通じて2025年4月7日より販売開始します。
本製品は、ERCP手技中にX線透視撮影システム「CUREVISTA Open(キュアビスタ オープン)」/「CUREVISTA Apex(キュアビスタ エイペックス)」*2で撮影したX線透視画像に、3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT(シナプス ヴィンセント)」*3で、CTやMRCP*4画像から作成した胆管や膵管及び近接臓器である肝臓、胃、膵臓、十二指腸の3D画像を重畳表示することが可能です。これにより、胆管の走行や臓器との重なりなど、解剖学的構造の把握が容易になることが期待されます。
富士フイルムは、2025年4月11日〜13日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」、並びに2025年5月9日〜11日に札幌で開催される「第109回 日本消化器内視鏡学会総会(JGES)」に本製品を出展します。

ERCPは胆管や膵管の走行を観察し、疾患部位の診断や治療を行うために使用される手技です。消化器内視鏡の領域では一般的に行われている手技ですが、ガイドワイヤーの操作や臓器構造の把握が難しく、医師の高度な技術と経験が求められるため、支援技術の進化が期待されています。
当社は、ERCP検査などに使用されるX線透視装置において、被検者を動かすことなく観察する「2WAY ARM」*5、「3WAY ARM」*6、目に見えない散乱X線を可視化する線量マップ「IntelliMAP」*7を搭載した「CUREVISTA Open」/「CUREVISTA Apex」を提供し、内視鏡検査・治療を支援してきました。

今回発売する「VisualAID -ERCPプランニング-」は、当社X線透視装置「CUREVISTA Open」/「CUREVISTA Apex」で撮影した画像を、DICOM通信を用いて専用端末*8で読込・動作するソフトウェアです。内視鏡検査中に撮影したX線透視画像は自動的に専用端末に送信され解析されます。
解析された透視画像は、検査前のMRI撮影によって作成した3DのMRCP画像によるプランニング結果と重畳表示されることで、解剖学的構造の把握が容易になります。また重畳された3D画像は回転や透過率の調整が可能で、2D画像だけでは関心部位が見えにくい状況でも、胆管・膵管の分岐や肝門部、肝内胆管などの複雑な走行を、医師が確認することが可能になります。さらに肝内胆管は、肝臓内の栄養血管区分(クイノー分類*9)に基づく領域単位で、表示/非表示の切替えなどを簡便に行うことができます。近接臓器である肝臓や胃、膵臓、十二指腸を重畳表示することも可能となっており、これにより、特に肝内胆管がターゲットとなるX線ガイド下の内視鏡手技において、肝内胆管の解剖構造や目標胆管の位置関係の把握がしやすくなります。
本製品を活用することで、ERCP手技中での関心部位への到達や治療に対して3D構造の把握が容易になり、より安全に手技を行えることが期待されます。

<システム構成>


<重畳表示画像>



ERCP中に撮影したX線画像上に3Dで作成した胆管・膵管を重畳表示し、肝内胆管をクイノー分類に基づき色分けした結果

色分けされた肝内胆管は、区域ごとに色の変更や非表示にすることが可能

当社は肝胆膵を主とする検査・治療領域において、今後、内視鏡・IT・X線透視装置・超音波診断装置を連携した新しいワークフローにより診療のさらなる高度化・効率化を目標として、技術開発を進めていきます。そして、AI技術ブランド「REiLI」のもと、AI技術の医療における活用の幅を広げることで、医療画像診断支援、術前シミュレーションの支援、医療現場のワークフロー支援に取り組んでいきます。


*1 ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影):内視鏡(カメラ)を口から入れ進め、胆管や膵管に直接細いチューブを介して造影剤を注入し、胆嚢や胆管及び膵管の異常を詳しく調べる検査。
*2 販売名:デジタルX線透視撮影システム CUREVISTA Open / CUREVISTA Apex
CUREVISTA Openは2WAY ARMを搭載したモデルの呼称。
CUREVISTA Apexは3WAY ARMを搭載したモデルの呼称。
認証番号:302ABBZX00032000
VisualAID-ERCPプランニングと接続するCUREVISTA Open/CUREVISTA ApexはバージョンV2.1以上が必要。
*3 販売名:富士画像診断ワークステーション FN-7941 型、認証番号:22000BZX00238000
VisualAID-ERCPプランニング-については、専用のPC及び、表示用のモニターが必要。
*4 MRCP(核磁気共鳴胆管膵管造影):MRI装置を用いて胆道、膵管を描出する検査。
*5 2WAY ARM:テーブルトップを一切スライドさせずに、X線管アームを縦方向と横方向に動かすことができる機構。
X線管アームに合わせて、テーブル内のFPD(Flat Panel Detector)も縦方向と横方向に動くことから、被検者を動かさずに透視や撮影の視野を移動できる。
*6 3WAY ARM:2WAY ARMの稼働方向に左右軸の斜入を追加した機構。
*7 IntelliMAP:実際の照射線量から散乱X線マップ(線量・分布)をシミュレーションする機能。
*8 オペレーションコンソールとは別の汎用PCで構成される。
*9クイノー分類:肝臓は門脈の分枝を元にS1-S8の区域に分類され、クイノーの肝区域分類と呼ぶ。

企業サイトURL
https://www.fujifilm.com/fms/ja
ニュース・プレスリリース
https://www.fujifilm.com/fms/ja/news/344

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