COVID-19後遺症、重症患者では2年以上続く場合も
Postacute sequelae of COVID-19 at 2 years
背景
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症は、急性期の症状が解消した後も長期にわたる後遺症(postacute sequelae of COVID-19;PASC)を引き起こすことが明らかになっているが、感染後1年以上のデータは乏しい。
アメリカVA Saint Louis Health Care SystemのBoweらは、同国退役軍人省のデータベースを用い、SARS-CoV-2感染後30日以上生存した患者138,818名と非感染者5,985,227名からなるコホートを構築し、2年間の死亡、入院、80種のPASCリスクについて推定した。
結論
死亡リスクの上昇は、急性期に入院を要しなかった感染者では感染後181日以降では非有意となり、入院リスクは541日以降で非有意となったが、入院を要した患者では2年経っても死亡・入院リスクが上昇したままであった。
80種のPASCのうち、非入院患者では2年経過時点で69%のリスク上昇が有意でなくなった一方、入院患者では35%に留まった。障害調整生存年(DALY)への寄与は、非入院患者においては2年累積で1,000人あたり80.4、入院患者では642.8であり、2年累積DALYのうち、非入院患者では25.3%、入院患者では21.3%が2年目のものであった。
評価
感染後2年目の後遺症は、1年目と比して軽減されてはいたものの、急性期に入院を要した患者では、依然として顕著な後遺症リスクが残ることを明らかにした。
ただし、この調査はワクチン接種が始まる前の、初期株感染患者が対象であるため、現在の患者のリスク推定には用いることができない。


