アメリカの医療従事者の自殺リスク：最高は医療補助職
Suicide Risks of Health Care Workers in the US
背景
最近のアメリカにおける医療従事者の自殺リスクは。
アメリカColumbia UniversityのOlfsonらは、2008〜2019年に観察された26歳以上の就業成人1,842,000名からなる全国コホートを解析し、6つの医療従事者グループ（医師・正看護師・その他医療診断治療従事者・医療技術者・医療補助職・社会行動医療従事者）の自殺率を非医療従事者の自殺率と比較した。
一次アウトカムは年齢・性別標準化自殺率である。
結論
10万人当たりの年間標準化自殺率［年齢中央値44歳、女性の割合32.4%（医師）〜91.1%（正看護師）］は、医療補助職21.4、正看護師16.0、医療技術者15.6、医師13.1、社会行動医療従事者10.1、その他の医療診断治療従事者 7.6、非医療従事者では 12.6であった。
自殺の調整後HR（aHR）は、非医療従事者と比較した場合、医療従事者全体 1.32、医療補助職 1.81、正看護師 1.64、医療技術者 1.39で高かったが、医師 1.11、社会行動医療従事者 1.14、その他の医療診断治療従事者 0.61では増加はなかった。
評価
COVID-19パンデミック期には医師・看護師のストレスと自殺の報道があったが、今回の調査には反映されていない。医師の自殺リスクが非医療従事者と変わらない一方、看護師の自殺リスクは高い等興味深い結果である。アメリカの正看護師・ソーシャルワーカー・行動医療従事者・医療補助職は、非医療従事者と比べ薬物過剰摂取による死亡リスクが高いという報告もある（https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M23-0902）。
