AVP欠損症診断のアルギニン刺激法への単純化の試みが失敗:CARGOx
Arginine or Hypertonic Saline-Stimulated Copeptin to Diagnose AVP Deficiency
背景
低張性多尿症は、アルギニンバソプレシン(AVP)欠損症・AVP抵抗症(腎性尿崩症)・原発性多飲症(PP)に分かれるが、AVP欠損症とPPの鑑別は困難である。
スイスUniversity Hospital BaselのRefardtら(CARGOx)は、低張性多尿の多飲症成人患者と、AVP欠損症診断成人患者158名を対象として、コぺプチンの高張食塩水刺激診断法とアルギニン刺激診断法の精度を比較する非劣性試験を行った。患者は連日交互に両試験を受け、最終診断は2人の内分泌科医が独立に臨床情報・治療応答・高張食塩水負荷試験の結果を用いて行った。
一次アウトカムは、事前規定のコペプチンカットオフ値(アルギニンでは注入開始後60分時点で3.8 pmol/L,高張食塩水ではナトリウム濃度が149 mmol/Lを超えた時点で4.9 pmol/L)に基づく全体的な診断精度である。
結論
44%の患者が 最終的にAVP欠損症と、56%がPPと診断された。一次アウトカムでのアルギニン刺激法の劣性を認めた(74.4% vs. 95.6%,推定差-21.2パーセントポイント)。有害事象は両検査とも軽度であった。患者の72%がアルギニン刺激法を好んだ。アルギニン刺激法の場合のコペプチン値は、3.0 pmol/L以下の場合にAVP欠損症が特異度90.9%で、5.2 pmol/L超の場合には、PPが特異度91.4%で診断された。
評価
多尿症診断学における重要課題を正面から主題化した試験だったが、より単純なアルギニン刺激試験の非劣性を確認できなかった。未だにアッセイ間で異なるコペプチンのカットオフレベルの問題とともに、未決の課題をさらに将来に残す結果となった。


