アイスランド人の25人に1人が短い寿命と関連する遺伝子型を持つ
Actionable Genotypes and Their Association with Life Span in Iceland
背景
イギリスのU.K. BiobankやアメリカのAll of Usなど、ゲノム・エクソーム情報を含む大規模データベースが先進国で相次いで誕生しており、疾患理解の深化と医療の精密化に資することが期待されている。そうした中、アメリカ臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は2021年、ゲノムシーケンシングにおける二次的所見の報告に関するガイドラインとして、医学的に介入が可能な(actionable)遺伝子73種のリストを発表し、以降、毎年更新を行っている(ACMG Secondary Finding)。
アイスランドUniversity of IcelandのJenssonらは、deCODE Geneticsのプロジェクトとして全ゲノムシーケンシングを受けたアイスランド人57,933名において、ACMG SF v3.0リストに掲載された遺伝子のコード・スプライスのバリアント有病率を調査した。
結論
ACMG SF v3.0のリストを基に、人の手によるキュレーションを行い、53遺伝子から235のactionableな遺伝子型が同定された。参加者57,933名のうち、4.0%にあたる2,306名が、これらの遺伝子型のキャリアであった。高頻度の遺伝子として、がん領域のBRCA2や、心血管領域のKCNQ1・MYBPC3、その他の領域のHFEなどがあった。キャリアの生存期間は、非キャリアと比して短く、特にがん領域でactionable遺伝子型を保有するキャリアは、生存期間が3年短かった(84歳 vs. 87歳)。心血管領域ではLDLR・MYBPC3が寿命の短縮と関連した。
評価
人口35万人のアイスランドの1/3近くをカバーする、deCODEの全ゲノムシーケンシング・プロジェクトから、actionableな遺伝子が寿命に影響することを初めて実証した。疾病負荷を具体的な数値として示し、早期検診や予防介入など、公衆衛生上のアクションを促す。


