関節形成術での感染予防にセファゾリンへのバンコマイシン追加は無益:ASAP試験
Trial of Vancomycin and Cefazolin as Surgical Prophylaxis in Arthroplasty
背景
関節形成術時の感染予防にセファゾリン(CFZ)等が推奨されるが、耐性菌対応としてのバンコマイシン追加は正当化できるか。
オーストラリアMonash UniversityのPeelら(ASAP)は、MRSA保菌のない関節形成手術予定患者4,113名を対象として、これを検証するRCTを行った(対照:プラセボ)。患者をCFZへのバンコマイシン1.5g追加群とプラセボ群に割り付けた。一次アウトカムは、術後90日での手術部位感染発生である。
結論
CFZへのバンコマイシン追加の一次アウトカムに対する効果を認めなかった( 4.5% vs. 3.5%, RR 1.28)。有害事象はアレルギー性過敏反応がバンコマイシン追加群で多く(RR 2.20)、急性腎障害(AKI)はプラセボ群で報告が多かった(RR 0.57)。
評価
一部で実践されている併用の正当性を問題にした最大規模のプラグマティックRCTで、無益と結論づけた。二次解析では膝関節形成術でバンコマイシン追加が手術部位感染リスクを増しており、有害との示唆がされている。なお、この試験では追加群でAKIが少ないことを示唆しているが、逆の先行研究もある(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25421958/)。