うつ・不安障害には抗うつ薬よりランニング?
Antidepressants or running therapy: Comparing effects on mental and physical health in patients with depression and anxiety disorders
背景
不安障害やうつ病への運動療法が注目されている。
オランダVrije Universiteit AmsterdamのVerhoevenらは、うつ病・不安障害患者141名を対象として、ランニング療法と薬物療法の効果・安全性を比較するRCTを行った。患者を16週間の抗うつ薬(エスシタロプラム/セルトラリン)処方群と週2回以上のグループランニング介入群に割り付けた。エンドポイントは、ベースライン16週間後の精神心理状態(病状重症度)と身体的健康指標(代謝免疫指標・心拍・体重・心肺機能・握力・身体フィットネス)である。
結論
ITT解析で症状寛解率は両群で同等であった(抗うつ薬群44.8% vs. ランニング群43.3%)、健康指標は服薬群がベースラインから悪化したのに対し、ランニング群は体重・腹囲・血圧・心拍などで有意な改善をみせた。
評価
うつ病への運動療法はすでに長い蓄積があり、メタアナリシスも複数存在する(https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3109/09638288.2014.972579)。この報告は、最もシンプルなランニングが抗うつ薬と同等の効果をもつとするもので、運動療法標準化の議論に対し、一定のインパクトをもつ。