治療抵抗性うつ病に対するエスケタミン点鼻薬の有益性を確認:ESCAPE-TRD
Esketamine Nasal Spray versus Quetiapine for Treatment-Resistant Depression
背景
治療抵抗性うつ病患者へのエスケタミン点鼻薬の効果は。
ドイツGoethe UniversityのReif ら(ESCAPE-TRD)は、そのSSRIまたはSNRIへの併用の効果・安全性を検証するオープンラベル単盲検多施設第3b相RCTを行った(n=676)。患者をエスケタミンとSSRIまたはSNRIとの併用群と、対照としてクエチアピン徐放剤とSSRI またはSNRIの併用群に割り付けた。一次エンドポイントは寛解(8週におけるMADRSスコア10以下)である。
結論
一次エンドポイントにおけるエスケタミンの優位を認めた(27.1% vs. 17.6%)。8週目の寛解後32週目まで再発がなかった患者率でもエスケタミンが優った。有害事象は、すでに確認されている安全性プロファイルと一致した。
評価
同薬はプラセボ対照試験での効果によりFDA承認されているが、実践場面ですでに多用されているSSRI/SNRIとの併用の効果立証は課題であった。当試験は、オープンラベルながらその効果を実薬対照で示し、エスケタミンの第3選択療法としての使用に一応のビデンスベースを与えた。なお、同薬の長期使用効果を検証するSUSTAIN-3が継続されており、中間結果はポジティブである(https://www.nature.com/articles/s41386-023-01577-5)。