急性疼痛に対するNaV1.8選択的阻害薬VX-548、第2相を通過
Selective Inhibition of NaV1.8 with VX-548 for Acute Pain
背景
電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.8の阻害による鎮痛は可能か。
アメリカVertex PharmaceuticalsのJonesら(VX21-548-102)は、NaV1.8の選択的経口阻害薬VX-548の鎮痛効果を検証する2件の第2相試験を行った(n=303[腹部形成術試験], 274[バニオン切除術試験])。腹部形成術試験では、参加者を、VX-548 100 mg経口負荷投与後50 mgを12時間ごとに維持投与する高用量群と、VX-548 60 mg経口負荷投与後30 mgを12時間ごとに維持投与する中用量群、酒石酸水素ヒドロコドン+アセトアミノフェンを6時間ごとに経口投与する実薬対照群、およびプラセボ群に割り付けた。バニオン切除術試験も、VX-548 20 mg経口負荷投与後10 mgを12時間ごとに維持投与する低用量群を加えた上で、同様のデザインで行った。一次エンドポイントは、48時間における疼痛強度差の時間加重和(SPID48)である。
結論
VX-548高用量群のプラセボ群に対する一次エンドポイント優位を認めた(最小二乗平均差:[腹部形成術後]37.8, [バニオン切除術後]36.8)。実薬群で、軽〜中等度の有害事象が発生した(頭痛・便秘)。
評価
NaV1.7阻害薬の鎮痛効果が証明されなかった後に出現した、Vertex Pharmaceuticalsによる高度選択的経口NaV1.8阻害薬である。効果の幅が小さく、実薬対照である酒石酸水素ヒドロコドン+アセトアミノフェンとの比較結果は曖昧にしか述べられていない。問題のある第2相試験だがテーマは重大であり、現在第3相試験が行われている。