リンチ症候群患者への身体活動介入の効果を詳細に検討
Exercise Training Reduces the Inflammatory Response and Promotes Intestinal Mucosa-Associated Immunity in Lynch Syndrome
背景
リンチ症候群(LS)患者に対する運動介入で発がんリスクを低減できるか。
アメリカThe University of Texas のVilarらは、同患者21名を対象として、運動介入の生物学的レベルの効果を検討するRCTを行った。12ヵ月間、週3回×45分間のサイクリング介入または週1回の運動カウンセリングを行い、心肺フィットネス・各種バイオマーカ・メタボロミクス・遺伝子発現を比較した。
結論
運動介入群のVO2peakの有意な増加を認め、さらに結腸と血液中の炎症マーカーの低下を確認した。また、運動介入群では、結腸粘膜におけるNK細胞とCD8+ T細胞の増加がみられた。
評価
LS患者への運動介入の重要性は、疫学データに基づいてすでに指摘され、「確認が必要」とされていた(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29904935/)。これは、バイオマーカーレベルでLS患者への運動介入の効果をみた初めての研究である。ポジティブな結論を導いたが、実際の発がん抑制につながるかは、長期検証が必要である。なお、2019年のレビューは、一般的ながん予防のための運動量を「週135分の中等強度運動レベル」と示唆している(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31095082/)。