ブタ腎脳死レシピエント移植での免疫応答を詳細報告
Immune response after pig-to-human kidney xenotransplantation: a multimodal phenotyping study
背景
遺伝子改変ブタ臓器のヒト移植では、腎移植が最も高いポテンシャルを持つと考えられ、すでに複数の施設が脳死レシピエントに対し実験を行っている。
フランスUniversité Paris CitéのLoupyらは、脳死者への遺伝子改変ブタ腎移植2例において、初期免疫応答の詳細を明らかにすべく行った多角的・包括的解析の結果を報告している。
結論
抗体関連型拒絶反応による毛細血管炎(主に糸球体)が最も顕著に観察された。このような応答は、自家移植片や虚血再灌流モデルでは観察されないものであった。毛細血管炎には、主に単球・マクロファージ・NK細胞が関与しており、内皮細胞・補体の活性化、液性免疫応答に関わる遺伝子の発現増なども確認された。
評価
類例実験は最近も新たに報告されているが(https://jamanetwork.com/journals/jamasurgery/fullarticle/2808483)、超急性拒絶反応はなく、短期アウトカムは良好、というのがコンセンサスのようである。この論文は、免疫応答の解析としては今まで最も詳細なもので、異種移植の特異性を浮き彫りにするものとなった。著者らは、自然免疫系を含む免疫全システムの応答がみられるものの、主病態は抗体関連拒絶反応による糸球体毛細血管炎としている。この問題が免疫抑制手法の改善だけで解決できるか、あるいは改変遺伝子の再考にまで踏み込まなければならないかは明らかでない。なお、ブタ心ヒト移植で報告された潜在ウイルスの活性化問題は、腎移植では報告されていない。


