前臨床期アルツハイマー病にsolanezumabは無効:A4Study
Trial of Solanezumab in Preclinical Alzheimer’s Disease

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
September 2023
389
開始ページ
1096

背景

LecanemabのFDA承認は、アルツハイマー病治療のための抗アミロイド抗体薬開発を加速した。
アメリカUSC Alzheimer’s Therapeutic Research InstituteのAisenら(A4Study)は、アミロイドモノマー標的化薬solanezumabの効果・安全性を検証する第3相RCTの結果を発表している(対照:プラセボ, 240週)。対象は前臨床期アルツハイマー病患者1,169名、一次エンドポイントは、240週後における前臨床期アルツハイマー病認知機能複合評価指標(PACC)スコアの変化である。

結論

Solanezumabの一次エンドポイントに対する効果を認めなかった。240週時点のPACCスコアの平均変化量は、solanezumab群が-1.43、プラセボ群が-1.13であった。アミロイド量は実薬群で11.6センチロイド、プラセボ群で19.3センチロイド増加した。浮腫を伴うアミロイド関連画像異常(ARIA)発生率は両群 とも1%未満で差はなかった。

評価

Lillyの創薬で、同社のdonanemab・remternetugと異なり、可溶性モノマーを標的化する抗体薬で、モノマーターゲットでは臨床効果を得ることができない、という否定的結論を確定する結果となった。他方、donanemabは年内にFDA承認される、という観測もある。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell