超音波技術を用いた乳がん診断用ブラジャーを開発
Conformable ultrasound breast patch for deep tissue scanning and imaging
背景
超音波トランスデューサ技術による乳房組織の画像化は、すでに乳がんの診断プロセスに組み込まれているが、乳房表面が広範囲に湾曲した個人差のある曲面であることから、ウェアラブル技術との統合が妨げられている。
アメリカMassachusetts Institute of TechnologyのDuらは、布製スポーツ・ブラ、高い分解能を実現する新たな圧電材料Yb/Bi-PIN-PMN-PT、ハニカム形状を応用し、個人差による位置決め・接触の不良を克服したパッチ(cUSBr-Patch)、パッチ上に配置された一次元フェーズドアレイからなる、乳房組織の画像化のための新規ウェアラブル・デバイスを開発した。
結論
圧電結晶Yb/Bi-PIN-PMN-PTを用いたフェーズドアレイによるリアルタイム画像化を評価するため、ファントムでの検証が行われた。アレイの最大視野幅は100 mm、画像化深度は約80 mmであった。深度30 mmのターゲットでは縦方向の0.25 mm、横方向に1.0 mmの分解能、コントラスト感度は約3 dBを達成した。
また、乳房で異常が発見されたことのある女性被験者でのin vivo検証では、cUSBr-Patchによって右胸で直径1 cm、左胸で0.3 cmの嚢胞が検出された。この嚢胞は、市販のプローブによる画像化でも同じ場所に発見された。
評価
謝辞が語るところでは、この研究は著者のひとり(C. Dagdeviren)の叔母が中間期乳がんによって命を落としたことをきっかけに開始された。ユーザーフレンドリーな画像技術によって、より頻繁なモニタリングを行うことは、進行速度の速い中間期がんを捉えるソリューションの1つである。


