高齢者の1日10時間以上の座位は認知症発症リスク
Sedentary Behavior and Incident Dementia Among Older Adults
背景
高齢者の座位時間は心血管代謝疾患リスクを増すが、認知症発症との関連は。
アメリカ University of Southern CaliforniaのRaichlenらは、UK Biobank登録の認知症診断のない60歳以上の高齢者49,841名を対象として、手首装着型加速度計のデータ解析から、1日の座位行動と全原因認知症発症の関連を検討する後向コホート研究を行った。
結論
諸因子調整後、認知症発症と座位時間の間に有意な非線型相関を認めた。1日座位時間中央値9.27時間と比較した認知症発症のHRは10時間で1.08、12時間で1.63、15時間で3.21。1,000人年あたりの調整後発症率は9.27時間で7.49、10時間で8.06、12時間で12.00、15時間で22.74であり、1回平均座位時間(HR 1.53)と最大1回座位時間(HR 1.15)も有意に認知症発症高リスクと関連した。座位回数は認知症リスクと関連しなかった(HR 1.00)。
評価
座位時間と心血管代謝疾患の関連には日本からの結果もある(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7585914/)一方、認知症に関して結果が一致していなかった。この研究は長期・前向ではないが、加速度計を使った大規模定量研究で、エビデンスレベルは高い。