鎌状赤血球症のHBG1・HBG2プロモーターCRISPR-Cas9編集治療は有望
CRISPR-Cas9 Editing of the HBG1 and HBG2 Promoters to Treat Sickle Cell Disease

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
August 2023
389
開始ページ
820

背景

鎌状赤血球症(SCD)は、遺伝子治療が最も期待されている疾患の一つである。
アメリカSt. Jude Children’s Research HospitalのSharmaらは、同患者3名を対象として、CD34陽性造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)におけるCRISPR-Cas9遺伝子編集産物OTQ923(HBG1・HBG2遺伝子プロモーターを標的化・破壊)による胎児ヘモグロビン発現治療の安全性・効果を検証する第1・2相試験を行った。

結論

骨髄破壊的前処置後、患者に自家OTQ923を投与し6〜18ヵ月間追跡した。追跡期間終了時には患者全員で胎児Hbが安定的に誘導され(比率 19.0〜26.8%)、赤血球内に広く分布し、赤血球に占める 胎児Hb赤血球(F細胞)率は69.7〜87.8%であった。SCD症状は全員で軽快した。

評価

SCDの遺伝子治療ではbluebird bioのlovotibeglogene autotemcel(lovo-cel)が先行しているが、FDAの承認は未だ見通せていない。ここでのアプローチは、より標的を絞ったプロモーター狙い撃ち戦略であり、著者らは赤血球破壊が少ない、としている。有望だが、この領域の進展は早く、後相では更なる最適化調整があるかもしれない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell