鎌状赤血球症のHBG1・HBG2プロモーターCRISPR-Cas9編集治療は有望
CRISPR-Cas9 Editing of the HBG1 and HBG2 Promoters to Treat Sickle Cell Disease
背景
鎌状赤血球症(SCD)は、遺伝子治療が最も期待されている疾患の一つである。
アメリカSt. Jude Children’s Research HospitalのSharmaらは、同患者3名を対象として、CD34陽性造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)におけるCRISPR-Cas9遺伝子編集産物OTQ923(HBG1・HBG2遺伝子プロモーターを標的化・破壊)による胎児ヘモグロビン発現治療の安全性・効果を検証する第1・2相試験を行った。
結論
骨髄破壊的前処置後、患者に自家OTQ923を投与し6〜18ヵ月間追跡した。追跡期間終了時には患者全員で胎児Hbが安定的に誘導され(比率 19.0〜26.8%)、赤血球内に広く分布し、赤血球に占める 胎児Hb赤血球(F細胞)率は69.7〜87.8%であった。SCD症状は全員で軽快した。
評価
SCDの遺伝子治療ではbluebird bioのlovotibeglogene autotemcel(lovo-cel)が先行しているが、FDAの承認は未だ見通せていない。ここでのアプローチは、より標的を絞ったプロモーター狙い撃ち戦略であり、著者らは赤血球破壊が少ない、としている。有望だが、この領域の進展は早く、後相では更なる最適化調整があるかもしれない。