鍼治療のRCTでの「シャム対照」とは
Needling Point Location Used in Sham Acupuncture for Chronic Nonspecific Low Back Pain: A Systematic Review and Network Meta-Analysis

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
September 2023
6
開始ページ
e2332452

背景

非特異的慢性腰痛(CLBP)への鍼灸介入試験におけるシャム鍼灸は、鍼を打つ箇所(経穴か否か)によっては実介入と同等の治療効果をもつのではないか。
韓国 Korea Institute of Oriental MedicineのLeeらは、CLBPに対する鍼灸介入試験で、対照群を明示した10件のRCT(n=4,379)を対象として、これを検討する系統的レビュー・ネットワークメタアナリシスを行った。シャム鍼灸を、介入群と同箇所に施術したもの(SATV)と、異なる箇所に施術したもの(SATS)に分類した。一次アウトカムはVAS等の評価による疼痛である。

結論

SATSと比べ、鍼灸介入は一次アウトカムに対する有意な効果(SMD, -0.33)、また機能改善効果(二次アウトカム;Roland-Morris障害度質問票により評価 -0.13)を示したが、SATVと鍼灸介入とに差は認められず、SATVはSATSと比べ、有意な疼痛軽減・機能改善効果を示した。

評価

著者らの結論は、「これまでの鍼治療に関するRCTは、真の効果を過少評価している可能性がある」というものである。他方、「鍼」治療とは何か、という定義問題を提出しているものともみられ、問題含みの分析である。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy