鍼治療のRCTでの「シャム対照」とは
Needling Point Location Used in Sham Acupuncture for Chronic Nonspecific Low Back Pain: A Systematic Review and Network Meta-Analysis
背景
非特異的慢性腰痛(CLBP)への鍼灸介入試験におけるシャム鍼灸は、鍼を打つ箇所(経穴か否か)によっては実介入と同等の治療効果をもつのではないか。
韓国 Korea Institute of Oriental MedicineのLeeらは、CLBPに対する鍼灸介入試験で、対照群を明示した10件のRCT(n=4,379)を対象として、これを検討する系統的レビュー・ネットワークメタアナリシスを行った。シャム鍼灸を、介入群と同箇所に施術したもの(SATV)と、異なる箇所に施術したもの(SATS)に分類した。一次アウトカムはVAS等の評価による疼痛である。
結論
SATSと比べ、鍼灸介入は一次アウトカムに対する有意な効果(SMD, -0.33)、また機能改善効果(二次アウトカム;Roland-Morris障害度質問票により評価 -0.13)を示したが、SATVと鍼灸介入とに差は認められず、SATVはSATSと比べ、有意な疼痛軽減・機能改善効果を示した。
評価
著者らの結論は、「これまでの鍼治療に関するRCTは、真の効果を過少評価している可能性がある」というものである。他方、「鍼」治療とは何か、という定義問題を提出しているものともみられ、問題含みの分析である。