ブタ心臓異種移植の詳細解析を報告
Graft dysfunction in compassionate use of genetically engineered pig-to-human cardiac xenotransplantation: a case report
背景
2022年1月、同種移植不適の末期心不全患者(57歳)が、初の遺伝子改変ブタ心臓移植手術を受け、術後60日に死亡した。
同プロジェクトを主導したアメリカUniversity of MarylandのMohiuddinらは、移植心が機能不全に至った経緯についての詳細な解析を報告している。
結論
移植心は、拡張期心不全を発症した術後47日まで良好に機能した。術後50日の心内膜生検では、間質性浮腫・赤血球漏出・補体沈着などを伴う毛細血管損傷が明らかであり、術後56日の心内膜生検では、進行性の心筋硬化・線維性変化が明らかとなった。また、抗ブタ異種抗体(主にIgG)が検出され、さらにブタcytomegalovirus/roseolovirusのcfDNAも検出された。心機能不全には諸病因が複合したものとみられる。
評価
初期情報では、主死因は拒絶反応でなく、潜在ブタウィルスの再活性化であるとの印象が形成された。しかし、NEJM短報(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2201422)に続く今回の詳細報告では、抗ブタ異種抗体の存在等従前の同種移植では経験されなかった拒絶反応が進行したことが示され、ウイルス説は後退している。今回の報告ではさらに、この未経験の拒絶反応が免疫抑制介入の戦略変更と関連したことも示唆され、状況は複雑である。同プロジェクトは、来年の本格的な臨床試験入りを目指して、脳死レシピエントで経験が蓄積されている(https://www.nature.com/articles/s41591-023-02471-9)。


