乳児の全ゲノム解析は実行可能で有用
Rapid Whole-Genomic Sequencing and a Targeted Neonatal Gene Panel in Infants With a Suspected Genetic Disorder
背景
乳幼児の遺伝子疾患の診断方法として、全ゲノム解析(WGS)は疾患遺伝子パネル検査に勝るか。
アメリカWomen and Infants Hospital of Rhode IslandのMaronらは、1歳未満で遺伝子疾患疑いのある入院乳児400名を対象として、これを検討する多施設前向研究を行った。一次エンドポイントは、分子診断の収率、診断までの時間、臨床的有用性である。
結論
全体の51%で遺伝子バリアントが特定された。WGSでは49%、パネル検査では27%が特定され、WGSでの164バリアントおよびパネル検査での19バリアントは、各手法のみで特定された。パネル検査では、1kbを超える49の構造変異や48のパネル外遺伝子が特定できず、WGSでは、解釈の差で14バリアントが見落とされた。診断に要した時間の中央値は、WGSで6.1日、パネル検査で4.2日だった。WGSは19%の患者で治療インパクトがあり、臨床医の76%が意思決定に有用と考えた。
評価
注目のNewborn genomic sequencing(NBSeq)構想で、Harvardグループの検討結果(https://www.cell.com/ajhg/fulltext/S0002-9297(23)00164-7)と軌を一にして実行可能性・有用性を示すこととなった。倫理問題とコスト問題がさらなる検討課題である。


