D型慢性肝炎にbulevirtide登場:MYR 301
A Phase 3, Randomized Trial of Bulevirtide in Chronic Hepatitis D
背景
D型慢性肝炎(CHD)はD型肝炎ウイルス(HDV)に起因し、B型肝炎ウイルス(HBV)との重複感染が多いが、有病率は低くアメリカでは希少疾患扱いされている。
ドイツHannover Medical SchoolのWedemeyerら(MYR 301)は、CHD患者150名を対象として、新規抗ウイルス薬bulevirtideの効果・安全性を検証する第3相RCTを行った。患者を、実薬2 mg/日144週皮下投与群(2 mg 群)、10 mg/日144週間皮下投与群(10 mg 群)、48週の無治療期間後、実薬10 mg/日96週間皮下投与群(対照群)に割り付けた。一次エンドポイントは、48週時点での奏効(HDV RNA量が検出限界未満またはベースラインから2 log10 IU/mL以上減でALT値が正常化することと定義)である。
結論
Bulevirtideの一次エンドポインに対する効果を認めた(達成率:2 mg群45%, 10 mg群48%, 対照群2%)。頭痛・瘙痒・倦怠感・好酸球増多・注射部位反応・上腹部痛・関節痛・無力症の頻度は、2 mg群・10 mg群が対照群より高かった。重篤治療関連有害事象は発現しなかった。2 mg群と10 mg群で、血中胆汁酸濃度の用量依存的上昇を認めた。
評価
Gilead Sciencesが開発したHBsAg大エンベロープタンパク質プレS1領域に由来する合成リポペプチドで、HBVとHDVのNTCPを介する細胞内侵入をブロックする。ペグ化インターフェロン アルファ-2aとの併用の有益性も報告されており、難治希少疾患の有力な制御ツールとなった。